1986 Fiscal Year Annual Research Report
肥大心における心機能異常の進展にたいする圧負荷と加齢の相互作用
Project/Area Number |
61570406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芹沢 剛 東大, 医学部, 助手 (90143429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 浩 東京大学, 医学部, 医員
望月 孝俊 東京大学, 医学部, 医員
百村 伸一 東京大学, 医学部, 助手 (10190985)
飯塚 昌彦 東京大学, 医学部, 講師 (70010379)
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Keywords | 肥大心 / 高血圧 / 加齢 / 心機能 / セロファン腎炎 |
Research Abstract |
本研究の目的は、若年ラットで片腎を摘出し、対側腎をセロファン紙で包み、セロファン腎炎による腎性高血圧を発生せしめ、高血圧による左室肥大にともなう心筋障害の発症と加齢との関係を明らかにすることにある。従って腎炎発症後3カ月,6カ月,12カ月,18カ月および24ケ月の時点における心機能の測定ならびに病理組織学的検討を行うことを予定している。 本年度は、心機能評価のための摘出心灌流装置および記録装置の作製を行った。ラットは一群10匹として、8週齢の雌WKYラットに片腎摘出術ならびに対側腎のセロファン腎炎を発生せしめて飼育を開始した。また同週齢のラットを対照群として飼育している。現在までの手術侵襲による死亡率は8%であるが、術後一週間以降は6カ月まで全例生存している。 以下に術後3カ月のラット4匹(20週齢)について予備的な実験を行った結果を示す。術前の4匹の収縮期最大血圧は133±29mmHg(mean±SD)であった。術後3週で収縮期血圧は170±22mmHgに上昇し、3カ月では167±32mmHgであった。なお1例では血圧の上昇が見られなかった。左心室重量体重比は、最大値3.7mg/gで対照群の2.8±0.4mg/gに比して明らかに増加していた。しかし、増加していないものもあり、4匹の平均は2.9±0.5mg/gであった。心臓を摘出して灌流し、等容収縮を行わせて心機能を評価したが、対照群に比して良好な収縮機能を示す傾向があった。 以上、セロファン腎炎により、3カ月より血圧が上昇し、心重量が増加ししかも、この段階では良好な収縮機能を持ったことが確認された。次年度は予定週齢に達したラットについて順次、心機能の評価,病理組織学的検討を加える予定である。
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