1986 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性心筋炎に対するインターフェロンの効果に関する実験的研究
Project/Area Number |
61570411
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松森 昭 京大, 医学部, 助手 (70135573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 忠一 京都大学, 医学部, 教授 (70025659)
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Keywords | インターフェロン / アルファ・インターフェロン / コクサッキーウイルス / 心筋炎 / ウイルス性心筋炎 / 心筋症 / 遺伝子組換え |
Research Abstract |
近年、遺伝子組換え技術の進歩により、インターフェロン(IFN)の大量生産が可能となり臨床応用の道が開かれた。IFNは宿主特異性があり、天然型のヒト白血球IFNαはマウスには効果を示さないが、リコンビナントIFNαA αDのハイブリッドであるαA/Dはヒトおよびマウス両方の細胞に対し効果があることが知られている。我々は、最近、encephalomyacarditis(EMC)ウイルス性心筋炎実験モデルにおいて、リコンビナントIFNが心筋炎の発症予防に有効であることを報告した。本研究では、ヒトにおけるウイルス性心筋炎の最も頻度の高い病因と考えられているコクサッキーウイルスに対するIFNの効果を実験モデルを用いて検討した。[方法]3週令C3H/HeマウスにコクサッキーB3ウイルス、【10^(5.5)】【TCD_(50)】を腹腔内に接種し心筋炎を作製した。IFNαA/D、【10^4】u/g/日を1日1回、ウイルス接種1日前またはウイルス接種同日から皮下に投与し、ウイルス接種の7日後に屠殺した。対照群には生理食塩水を同様に投与した(各群n=10)。[結果]IFN非処置群では2匹が死亡したが、IFN投与群では死亡したものはなかった。心臓のウイルス量はIFN非投与対照群で4.4±0.9【log_(10)】 【TCD_(50)】/mg、前日に投与を開始した群(第【I】群)で0.7±0.1【log_(10)】【TCD_(50)】/mg、ウイルス接種と同日に投与を開始した群(第【II】群)で2.5±1.2【log_(10)】【TCD_(50)】/mgとIFN投与群でウイルス増殖は著明に抑制された(P<0.005)。病理組織学的検討(4段階分類)では、細胞浸潤はIFN非投与群3.6±0.7、第【I】群0.1±0.3、第【II】群0.9±0.6であり、心筋細胞の壊死は、対照群3.8±0.6、第【I】群0.1±0.3、第【II】群1.1±0.7で、細胞浸潤、壊死いずれもIFN投与群で著明に軽減した(P<0.005)。 [結論]マウスにおけるコクサッキーウイルス性心筋炎実験モデルにおいて、IFNαA/Dはウイルス接種前または同日投与により、心筋内でのウイルス増殖を抑制し心筋病変を軽減した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tomioka.Nobuyoshi: Journal of The American Callege of Cardiology. 7(4). 868-872 (1986)
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[Publications] Monrad.E.Scott: Circulation. 73(5). 1058-1064 (1986)
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[Publications] Matsumori Akira: Journal of the American College of Cardiology. (1987)