1986 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮及び平滑筋細胞における細胞膜を介する情報伝達機構と収縮・拡張反応
Project/Area Number |
61570416
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横山 光宏 神戸大, 医学部, 講師 (40135794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 亨 神戸大学, 医学部, 医員
市川 靖典 神戸大学, 医学部, 医員
藤井 隆 神戸大学, 医学部, 医員
秋田 穂束 神戸大学, 医学部, 助手 (60175792)
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Keywords | 血管平滑筋 / ホスファチジールイノシトール代謝 / セロトニン / ノルエピネフリン / Cキナーゼ / ホルボールエステル / 血管収縮 / 血管拡張 |
Research Abstract |
血管平滑筋の収縮反応の生化学的機序を解明する目的で、ノルエピネフリン(NE)とセロトニン(5HT)刺激時の家兎大動脈のホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転と収縮反応を調べた。NEと5HTはPIとホスファチジン酸への【^(32)Pi】の取り込みを濃度依存的に増加させ、各々α1と5H【T_2】受容体を介する反応であることを示した。両アゴニストによるPI代謝回転と収縮反応のE【D_(50)】を比較した結果、NEでは後者が、5HTでは前者が低値を示した。一方、刺激早期(10-120秒)のPI一燐酸とPI二燐酸への【^(32)Pi】の取り込みに差異を認め、両者によるPI加水分解の機序が異なることが推察された。無【Ca^(2+)】栄養液中での実験結果より、NEによるPI代謝回転と収縮反応は細胞外【Ca^(2+)】の細胞内への流入に関係なく、5HTによるそれらは細胞外【Ca^(2+)】の流入に依存して惹起されることが判明した。環状ヌクレオチド(cAMPおよびcGMP)は両アミンによるPI代謝回転を有意に抑制したが、収縮抑制作用との比較からこれらの物質は多様な作用点を持つものと考えられた。PI代謝回転によって活性化される燐脂質【Ca^(2+)】依存性蛋白燐酸化酵素(Cキナーゼ)の血管収縮、拡張反応における生理的役割を明らかにする目的で、Cキナーゼを直接活性化させるホルボールエステル(TPA)を用いて、家兎大動脈標本で張力実験を行った。TPAは濃度依存性(16-162nM)に血管収縮を惹起した。TPAによる収縮は無【Ca^(2+)】溶液や【Ca^(2+)】チャネル阻害剤で抑制されなかったが、カルモデュリン阻害剤やニトログリセリンによって抑制された。更にシクロオキシゲーゼ阻害剤は無効であったが、リポキシゲナーゼ阻害剤は有効であった。また、TPAはアセチルコリンやサブスタンスPによる内皮依存性弛緩反応を抑制したが、A23187による反応は抑制しなかった。TPAはニトログリセリンによる弛緩反応を全く抑制しなかった。Cキナーゼ活性化作用を有しないホルボールエステルは血管収縮を生ぜず、弛緩反応にも影響を与えなかった。
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Research Products
(1 results)