Research Abstract |
目的:不整脈の周期性変動のメカニズムを基礎的に明らかにすることによって不整脈の診断, 急死の予測, 治癒, 心臓死の予防対策に資することを目的とする. 成績:(1)家兎を用いてジギタリス中毒による心臓死までの時間は, Ca拮抗剤の併用により延長することを確めた. (2)このジギタリス中毒による心臓死は, エピネフリンあるいはプロプロノロールの連続7日間腹腔内投与によって, 有意ではないが, 死亡までの時間が対照に比し短縮した. (3)ジギタリス中毒死までの経過は, 心室細動を経過するものと, 経過せず高度の徐脈で死亡するものの2群にわけられた. これら2群間で, 死亡前の期外収縮数, 周期性には差を認めなかった. (4)血圧, 呼吸を心電図と同時誘導し, 死亡まで連続記録したが, 細動群と非細動群の間で差を認めなかった. (5)ジギタリス中毒に生体機能の日内変動の関与を明らかにするために, 朝7〜8時, 夕5〜6時に耳静脈より採血し, 血清電解質, 遊離脂酸, 中性脂肪, カテコールアミンについて検討したが, 細動群と非細動群間で明らかな日内変動の差を認めるには至らなかった. (6)ジギタリス中毒に関する実験的研究として, 心筋のジギタリスレセプターの測定を行ない, 心電図変化との対応を検討した. さらにラット心筋を摘出し, 細胞膜を単離精製し, ^3H-Ouabainに対する濃度結合曲線を求め, これによりOuabain結合部位数と親和性を求めた. 以上のパラメーターについてジギタリス中毒での心電図変化と対比検討した. 総括:臨床における心臓死には心室細動によるものと, 著明な徐脈によるものの2型が知られているが, 実験的にも確認された. 心臓死に至るまでの時間は自律神経緊張によって促進され, 日内変動の関与は必ずしも明確でなかった. 現在, 脳波との同時誘導を行ない, さらに単離細胞膜レベルで心臓死のメカニズムを検討中である.
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