1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570428
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中村 俊夫 東海大, 医学部, 助教授 (00004739)
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Keywords | 心肥大 / 左室肥大 / 求心性心肥大 / 心機熊 / 大変形理論 / 外的仕事効率 |
Research Abstract |
慢性の血行力学的負荷の増大の結果生じた肥大心の拍出機能の正常心との差異を検討することにより、肥大の発生のもとで心臓は増大した負荷に対し如何に対応しているのか、その機序の解明を計った。実験方法は、イヌを用いて大動脈狭窄法により左心室に求心性心肥大を生ぜしめ、その摘出心標本を用い行った。即ち、心室に対する負荷条件を生理的範囲を含む広範囲に変化し、かつ心室レベルでの負荷条件が圧負荷肥大心と正常心にて等しく場合の拍出特性の違いを検討した。 圧負荷肥大心では、求心性肥大の発生により心室の拡張期コンプライアンスが低下している。その結果同じ拡張期圧のもとでは、単位心筋重量当りの心室容積は求心性肥大心では減少している。一方、収縮期の特性については、求心性肥大心の圧発生能は向上し、拍出特性もEmax,EFで見る限り一見改善しているように見える。しかし、単位心筋重量当りの1回拍出量を検討してみると、この値は後負荷のレベルによって変動し、高い後負荷のレベルで初めて、肥大心の値が正常心を上回ることが明らかになった。 以上の結果は、圧負荷のもとでの求心性肥大の発生は、心室の圧発生能の向上をもたらすが、しかしこれが直ちに拍出能も改善していることを意味するものではないことを示している。事実、肥大心の外部仕事に対する機械的効率の検討結果でも、肥大心での効率が正常心より改善しているとの結果は得られなかった。 また、私どもは従来より心室壁の応力解析を有限変形理論に基ずいて行ってきた。今回は、本理論に基ずく応力解析の妥当性の検証のため、心室形状を有限要素モデルで近似し、かつ要素の変形は大変形理論を用い行った。その結果、理論解析から得られた心室の形状変化は、超音波計測法の結果とかなり良く一致するとの結果が得られた。
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[Publications] 中村俊夫: Tokai J.exp.med.7. 164-173 (1987)
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[Publications] 中村俊夫: "心臓弁膜症第8章代償性心肥大" 金厚出版, 82-93 (1986)
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[Publications] 中村俊夫: "Diastolic myueardial stress-strain relation of the left venticle in the p〓sure-overhead heart-analysis based on the large deformatin theory in"New approaches in cardiac mechanics"." 日本学会事務センター, 231-239 (1986)