Research Abstract |
20-22週令の血圧固定期にある自然発症高血圧ラット(SHR)に, hydralazine80-90mg/kg/day, 又はcaptopril 50-60mg/kg/dayを約8週間投与. 収縮期血圧, 心拍数はNatsume KN-201-1を用いて, 尾動脈から非観血的に測定. hydralazine投与によって, 血圧は132mmHgと, 非投与コントロールSHR群の216mmHgに比べて有意に低下. 心拍数は445/minと, 非投与群の340/minに比べて有意に増加. 一方, captopril投与群は, 血圧は135mmHgと, 非投与群より有意に低下. 心拍数は380/minで, 非投与群と有意差はなかった. 体重は両投与群とも, 非投与群より減少. 心室重量も両投与群で低下を示したが, captopril投与群で著名であった. しかし, 心室重量/体重比を比較すると, hydralazine投与群は非投与群と有意差はなく, captopril投与群で減少を示した. ピロ燐酸ゲル電気泳動で分離した左室心筋ミオシンアイソザイムは, hydralazine投与群で, ATPase活性の高いVM-1の増加, 同活性の低いVM-3の減少を認めたが, いずれも有意な変化ではあるが, 程度は軽度であった. Captopril投与群においても, VM-1の増加, VM-3の減少を認めたが, 変化の程度は, hydralazine投与群よりも大であった. 左室乳頭筋のメカニックスに関しては, 有意な変化はなかったが, SHRの乳頭筋の形状が一様でないことも影響していると思われる. 大動脈狭窄ラットのクリップを取り除き, 圧負荷を除去した場合, また, 腹部大動脈・下大静脈シャントラットのシャント閉鎖によって容量負荷を除去した場合, いずれも心室重量は減少, 左室心筋ミオシンアイソザイムはVM-1へ移行, 左室乳頭筋のメカニックスは有意な変化を示さなかった. いずれの場合も当初の開腹術の影響で癒着が強く, 実験を進める上で充分な状態のものが少なかったため, 更に工夫, 検討が必要と思われた.
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