1988 Fiscal Year Annual Research Report
肥大心における心筋収縮力、心筋生化学の変化について
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61570429
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
武田 信彬 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60112835)
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Keywords | 心肥大 / 自然発症高血圧ラット / 大動脈狭窄ラット / AVシャントラット / Hydroxyproline / DNA含量 |
Research Abstract |
心臓への機械的負荷に対する適応として心肥大が生じるが、この時の収縮力に変化を与えるものの一つに心筋線維化があり、これはコラーゲン含量、更にその指標としてHydroxyprolineが測定される。当研究では凍結乾燥し粉末状とした左室心筋50mgを加水分解、P-ジメチルアミノベンズアルデヒド反応を用いて比色定量した。生後10週齢の雄のラットに腹部大動脈狭窄を作り圧負荷4週の時点で同週齢のコントロール群と比較すると、大動脈狭窄群では左室重量は約12%増加していたが、単位乾燥重量当りのHydroxyproline量は狭窄群で軽度増加の傾向はみられたが有意差は認められなかった。次に生後10週齢のラットに腹部大動脈・下大静脈間シャントを作り心臓に容量負荷を加えると、シャント群ではコントロール群に比べて左室重量は約14%、右室重量は約18%増加していた。しかし、心筋内Hydroxyproline量は左室、右室ともに両群間で有意差を認めなかった。生後20週齢の自然発症高血圧ラツト(SHR)を3群に分け、1群は薬剤無投与コントロール、残り2群のうち1群にはα_1遮断剤(Bunazosin・HCl5mg/kg/日)、他群にはβ遮断剤(Propranolol・HCl10mg/kg/日)をそれぞれ8週間経口投与した。β遮断剤投与群はコントロール群に比べて血圧は降下せず、心室重量はわずかに低下の傾向は示したものの有意ではなく、α_1遮断剤投与群も血圧、心室重量ともにコントロール群よりやや低下の傾向を示したがいずれも有意ではなかった。左室心筋内Hydroxyproline量は3群間に有意差はなかった。左室心筋の一部を凍結乾燥して粉末状としたものから脂質を除き、ジフェニールアミン反応を用いてDNAを比色定量したが、どの群間にも有意差はなかった。以上の結果には実験動物作製時の手技、ラットの週齢、負荷期間、薬剤投与量及び投与期間などの様々な要素が影響しているものと思われ反省すべき点であった。
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