1986 Fiscal Year Annual Research Report
男性仮性半陰陽の病因,病態に関する研究-特に尿道下裂症例を中心として-
Project/Area Number |
61570440
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤枝 憲二 北海道大学, 医学部, 助手 (60173407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 信夫 北海道大学, 医学部, 助教授 (50002332)
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Keywords | 男性仮性半陰陽 / 尿道下裂 / 性腺機能 / 皮膚線維芽細胞 / アンドロゲンレセプター / HY抗体 |
Research Abstract |
男性仮性半陰陽(MPH)の病因病態は複雑多岐にわたっているが、最も頻度の高い尿道下裂症例を中心としたMPHの病因病態を明らかにするために以下の検討を行った。 1)Mixed Gonadal Dysgenesis,46XYMPH症例でのH-Y抗原の検索:3例のMixed GonadalDysgenesisのうち2例(45、XO/46、XYq-)ではH-Y抗原陰性、45、XO/46Xi(Yq)では陽性。46XYMPHでは陽性であった。H-Y抗原陽性例では睾丸組織が存在していた。 2)低身長を主訴とした11才戸籍上女児において内分泌学的検討を行った。染色体は46,XYで外性器は女性型であるが両側陰唇部に睾丸様組織が触知された。組織学的にも成熟したLeydig細胞が存在していた。LH-RH試験では、LH/FSHの反応性は前思春期のものであり、hCG試験では、testosteroneの反応は欠如していた。摘出した睾丸組織をCollagenase処理しfreeのLeydig細胞を用いてin vitroでtestosterone産生能を検討したが、産生は認められなかった。この症例はGonadotropin不応性に基づく病態と考えられ、今後免疫組織学的手法によるGonadotropin receptorの検索を行う予定である。 3)前思春期の尿道下裂症例にはtestosterone分泌能の低下している例があることを既に報告しているが思春期年齢に達した症例でも同様なことが認められるか否か明らかではない。少数例の検討では明らかなtestosterone分泌能の低下は認められていない。今後例数を増し尿道下裂の程度との関係、Spermatogenesisの程度との関係などを検討してゆく予定である。 4)MPH症例からの外陰部皮膚組織を用いて皮膚線維芽細胞継代培養系の確立を行った。現在まで5症例の継代培養系を保有しているがAndrogen receptorの測定にまでは至っていない。Androgen receptor測定系の検討は大量に組織が得られる馬の海綿体を用いて基礎的検討を行っている。今後同様な測定系を用いて皮膚線維芽細胞系でのAndrogen receptorの生後発達及びMPH症例での検討を進めてゆく予定である。
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