1988 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の小児インフルエンザ菌感染症の実態に関する研究
Project/Area Number |
61570445
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上原 すゞ子 千葉大学, 教育学部, 教授 (70009124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 周 帝京大学, 医学部市原病院小児科, 教授 (20009591)
中村 明 千葉大学, 医学部小児科, 助手 (30155816)
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Keywords | インフルエンザ菌感染症 / b型インフルエンザ菌 / 全国調査 / 罹患率 / 抗生物質耐性 / 炎膜抗原 / 保菌率 |
Research Abstract |
1)小児インフルエンザ菌(Hiと略)感染症の全国調査(1985-1988)を小児科学会認定医研修施設を対象に実施した。Hi全身感染症は256施設から427例集計され漸増傾向にある。1歳未満38%、2歳未満67%で従来よりも高年齢化傾向にある。髄膜炎91%、肺炎膿胸3.6%、関節炎1.6%、蜂崇繊炎1.4%、喉頭蓋炎0.9%など、血清型別では92%がb型、予後では志望と2.6%で半減したが後遺症は21%で改善されていない。 2)Hi全身感染症に関するpopulation studyを千葉県小児科標榜病院150を対象に実施した(1985-1988)。該当例は17施設から46例(髄膜炎40、肺感染症3、喉頭蓋炎2、関節炎1)報告された。罹患率は症例数の多い1988年でさえ千葉の0〜4歳人口10万対全身感染症4.8、髄膜炎3.9で、米国CDCの調査の1/20、1/15であった。 3)わが国全身感染症由来のHi菌株の性状を37施設よりの全離株77について検討した。髄膜炎株の98.5%がb型、肺炎・敗血症4株は無炎膜株、生物型では髄膜炎株の93%がI型・II型であった。ABPC耐性は35%、全株β-lactamase産生CP耐性7%中77%にABPC耐性が付随していた。CTX,LMOX耐性株はなく優れたMIC値であった。 4)Hi炎膜抗原の検出を従来の血清、穿刺液、尿に加え喀痰について試みた。Hiが有意に検出された喀痰46中2検体からCIEにてHib型英膜抗原が照明され、他は無炎膜型Hiであると判定された。Hib型の存在を小児喀痰からCIEで証明したことは本邦初の成績である。 5)Hib型鼻咽腔保有状態を抗血清加培地を用いて検索した。Hib髄膜炎児の兄が通園する幼稚園児のHib分離率は110例中、11例10.0%、Hi感染症と無関係な保育園児では2.2%程度であった。わが国でもHib感染症児の周囲にはHib保菌率の高い集団が存在することが、はじめて警告された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mami,Namba・Akira,Nakamura・Suzuko,Uehara: Acta Paediatrica Japonica. 30. 261-266 (1988)
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[Publications] 上原すゞ子: 小児内科. 20増刷号. 494-496 (1988)
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[Publications] 中村明、上原すゞ子、寺嶋周 他: 日本小児科学会雑誌. 93. (1989)
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[Publications] 氷見京子、中村明、上原すゞ子: 日本小児科学会雑誌. 93. (1989)
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[Publications] 上原すゞ子: "今日の小児治療指針「インフルエンザ菌感染症」" 医学書院, (1989)