1988 Fiscal Year Annual Research Report
DNA断片多形性によるブルトン型免役不全症欠陥遺伝子キャリアーの診断法の開発
Project/Area Number |
61570451
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 宏 名古屋大学, 医学部, 助手 (50157278)
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Keywords | 伴性遺伝病 / 先天性免疫不全症 / ブルトン型免疫不全症 / X染色体マッピング / DNA断片多形性 |
Research Abstract |
先天性免疫不全症の病因を遺伝子レベルで探り、DNA診断に役立てるべく、伴性劣性遺伝性免疫不全患者および家族について制限酵素によるX染色体DNA断片多形性を昨年にひき続いて検討し、以下の成績を得た。 1.欧米のDNA断片多形性研究施設から入手したX染色体由来DNAプローブ4種類を用いてブルトン型免疫不全家系を対象として検討した。その結果、TaqI制限酵素を処理した断片についてDXS17;S21プローブとの連鎖が示された。一方、ブルトン型遺伝子との連鎖が報告されているもう1つのDNAプローブDXS4;99-6との連鎖は示されなかった。以上から、我々が今回対象としたブルトン型免疫不全症家系の疾患遺伝子座は、Xq21.3-Xq22付近と推定された。 2.しかし、同DXS17;S21プローブを用いて検討したキャリアー診断の結果は、キャリアーを診断するのに充分な量の多形情報が得られなかった。 以上より、ブルトン型免疫不全症の遺伝子診断として、DXS17;S21プローブ+TaqI制限酵素によるDNA断片多形性解析は有効であると結論した。しかしキャリアー診断には不充分で、他の連鎖プローブと組み合わせる必要があると考えられた。また、本症に限ってのキャリアー診断を目的とするのであれば、本症が伴性でB細胞自身の障害によるB細胞分化異常である特徴を考慮し、キャリアー末梢血B細胞では本来アトランダムであるべきX染色体不活化がノンランダムに起こり片寄っていることを指標とする方法を組み合わせることが最も有効であろう。
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