1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570456
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 肇 神戸大, 医学部, 講師 (40030978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上谷 良行 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (40168620)
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Keywords | 母体喫煙 / Carboxyhemoglobin,新生児 / 受動喫煙 |
Research Abstract |
1.血中Carboxy hemoglobin(CoHb)の定量法の検討:サポニン処理にて溶血した全血を試料としてフェリシアン化カリウム【K_3】Fe【(CN)_6】を0℃にて30分間作用させ遊離した一酸化炭素(CO)をガスクロマトグラフィー法にて測定し、ヘモグロビン値より%Saturationを算出した。この測定には米国Stanford大学Stevenson教授らにより開発された専用のDetectorを用いた。標準COガスにより標準曲線を作成し、測定感度検体量の検討を行った結果、CO【10^(-10)】Lまで測定可能で、検体量は2μLの溶血液で十分測定し得ることを確認、採血量の制約される新生児においても十分に応用できる方法であることが判明した。 2.正常新生児の血中COHb値:正常新生児34例を対象として血中COHb値を検討したが、臍滞血0.87±0.28、生後1日目0.72±0.16、3日目0.71±0.15、5日目0.66±0.16(%Sat)と母体血0.50±0.18よりも高値を示していた。 3.喫煙者と非喫煙者の血中COHb値:喫煙者は平均3.98(Sat%)で、非喫煙者の平均0.56(Sat%)に比し明らかに高値をとった。 4.母体喫煙と新生児血中COHb値及び受動喫煙:今回検討できた3症例のうち、1例は分娩直前まで喫煙しており、母体血4.92(Sat%)、児血2.67(Sat%)と異常高値を示していた。他の2例は妊娠末期に禁煙していたため母体血0.78〜1.36と低値で、児血においても0.63、0.77(Sat%)と正常児と差は認めなかった。従って母体血中のCOHb値は児血中COHb値に強く反映されることが確認された。5.受動喫煙の影響を検討するため、たばこの煙で充満した部屋に入り、経時的に血中COHb値を測定したところ、前値0.30(Sat%)が20分後には0.65(Sat%)とピークに達し、明らかに血中COHb値の上昇をみた。 今後、母体喫煙によるCOHb値の上昇が、児の成長発達にどのような影響をもつかを、動物実験を通して検討したい。
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