1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570456
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 肇 神戸大学, 医学部, 助教授 (40030978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上谷 良行 神戸大学, 医学部付属病院, 助手 (40168620)
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Keywords | 母体喫煙 / Carboxyhe〓globin / 新生児 / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
母体喫煙が胎児に及ぼす影響を知る目的で妊娠ラットに一酸化炭素(CO)負荷を行ない, 胎仔の体重増加及び新生仔の血中Carboxyhemoglobin(COHb), Hb値を測定した. 1.対照群:2匹の妊娠ラットの母体血中COHb値は0.75, 0.82(Soot.%), Hb値は12.9, 12.5g/dlで帝王切開にて妊娠20日目に娩出した6匹及び8匹の仔の平均体重は3.70g, 3.75gで, COHb値は0.79, 0.95(Soot.%)であった. 2.高濃度CO長期負荷群:2匹の妊娠ラットに妊娠2週から3週にかけて27.3ppmのCOを負荷すると, 1匹は流産し, 他の1匹は平均3.1gの仔7匹を娩出した. 前者の母親のCOHb値は3.04%後者は4.06%でHb値は19.9, 16.6g/dlと著明な高値を示した. 新生仔の平均COHb値は3.26%とやはり異常高値をとった. 3.高濃度CO短期負荷群:妊娠第2週のみ又は第3週にのみ27.3ppmのCOをそれぞれ2匹ずつの妊娠ラットに負荷するとどちらの時期に負荷しても1匹流産し他の1匹は仔を得た. しかし, 第2週にのみCO負荷した妊娠ラットより出生した仔の平均体重は4.6gで対照群よりやや重く, COHb値も0.91とさほど高値をとらなかった. 一方, 第3週にみCOを負荷した例では平均3.3gの仔を得, COHb値も11.3%と著明な高値であった. この母親のCOHb値は4.46%でHb値は21.6g/dlであった. 4.低濃度長期負荷群:妊娠第2, 3週に連続して平均15.6ppmのCO負荷をすると4匹の妊娠ラットすべて流産した. 今回の実験では母体の体重増加はCO負荷によって極めて不良になり, 特に低酸度長期負荷群では全例負荷前より体重が減少していた. 以上の結果より, 妊娠ラットへのCO負荷により流産したのは, おそらく母体の低酸素によるものと考えられた. またCOを負荷すると妊娠中のいずれの時期においても流産する可能性が示唆された. ヒトにおいても, 母体の喫煙によるCO負荷は児の血中COHb値を直接的に増加させ相対的な低酸素血症に陥らせる可能性を示唆するものと言える.
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