1986 Fiscal Year Annual Research Report
新生児黄疸に対するグリーンライト療法と青色光療法の作用機構の比較に関する研究
Project/Area Number |
61570460
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
磯部 健一 香川医大, 医学部, 講師 (00159815)
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Keywords | 新生児高ビリルビン血症 / グリーンライト / 青色光 / HPLC / (ZE)-ビリルビン / 光平衡 / (EZ)-サイクロビリルビン / 血中半減期 |
Research Abstract |
新生児高ビリルビン血症40症例を無作意にグリーンライト使用群23例と青色光使用群17例に分け、各20W7本で照射し経時的に光異性体をHPLCで分析した。1.光異性体の総ビリルビン濃度に対する割合:(ZE)-ビリルビンは光療法前より約10%存在する。グリーンライト使用群では緩やかに増加し、約6時間で光平衡(13.4%)に達した。一方青色光使用群では急激に増加し、約2時間で光平衡(17%)に達した。(EZ)-ビリルビンは光療法開始前より極く微量存在し、光照射と共に24時間まで増加するが、全体に占める割合は極めて少量に止まった。(EZ)-サイクロビリルビンは光療法前では検出感度以下か、あるいは極く微量であったが、両群共に光照射に伴って漸増し、グリーンライト使用群では10時間以後減少する傾向が認められた。2.両群における立体異性体および構造異性体の生成量の検討:(ZE)-ビリルビンについては光療法開始2時間以後、成熟児、未熟児共に青色光使用群がグリーンライト使用群に比し有意に多く、青色光がインビトロ同様にインビボにおいてもグリーンライトの1.5〜1.7倍の(ZE)-ビリルビンを生成することが明らかとなった。一方(EZ)-サイクロビリルビンの動態は、成熟児においては青色光使用群とグリーンライト使用群の間に有意差は認められなかったが、未熟児においては光照射開始後2〜10時間にかけてグリーンライト使用群が有意に高値で、青色光使用群の1.6〜1.7倍の値を示した。今回使用両光源とも血清ビリルビンの半減期には差がなかったこと及び(EZ)-サイクロビリルビンの血中半減期は低出生体重児程長くなることから、(ZE)-ビリルビンの生成は黄疸軽減機構の面で主要でないことが裏付けられた。またグリーンライト使用群の未熟児例で(EZ)-サイクロビリルビンが高値を示したのは、生成速度が成熟児と同一と仮定すればその排泄能の差が血中濃度に反映されたと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 磯部健一,伊藤進,大西鐘壽: 小児内科. 18. 113-118 (1986)
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[Publications] 伊藤進,磯部健一,大西鐘壽: 小児科臨床. 39. 1573-1580 (1986)
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[Publications] Itoh.S;Yamakawa.T;Onishi.S;Isobe.K;Manabe.M;Sasaki.K: Biochem.J.239. 417-421 (1986)
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[Publications] 磯部健一,真鍋正博,大西鐘壽: 肝胆膵. 13. 905-910 (1986)
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[Publications] 磯部健一,真鍋正博,大西鐘壽: 小児内科. 19. 147-153 (1987)
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[Publications] 伊藤進,大西鐘壽: 小児内科. 19. 169-173 (1987)