Research Abstract |
1.小児を対象に, clonazopam(CZP)単剤投与の症例を中心に, 総血中濃度と同時に遊離型血中濃度を測定し, CZPの蛋白結合比率を検討した. (1)総血中濃度に対する遊離型CZP血中濃度の比率は約10%で, 蛋白結合に関し, 年令, 血漿アルブミン濃度ならびに総血中濃度の高低による差異, さらに併用他剤の影響は認められなかった. (2)今後, CZPの蛋白結合に関し, α_1 acid glycoproteinなど, アルブミン以外の血漿蛋白分画濃度の影響を検討したい. 2.Carbanazepine(CBZ)にsodium valproate(VPA)を併用すると, CBZの血中濃度は変化しないが, その主要代謝産物carbamazepine-10,11-epoxide(CBZ-E)の血中濃度が有意に上昇する. (1)CBZとVPAの2剤併用例, ならびにCBZとVPA,CZPの3剤併用例において, この相互作用の臨床的意義を明らかにした. すなわち, 相互作用によりCBZ-Eの血中濃度が4μg/ml以上になると, 眠気などの副作用が生じる. (2)この相互作用とも関連し, CBZの体内動態を一層明確にするために, 今後CBZ-Eとともに, 他の代謝経路のhydroxy metaboliteの血中濃度の測定も検討したい. 3.CBZを継続投与中の小児において, CBZならびにCBZーEの蛋白結合比率を検討した. (1)単剤投与の場合, CBZならびにCBZ-Eの蛋白結合比率はそれぞれ80%ならびに60%前後で, CZPとの併用例では両者の蛋白結合比率に変化はない. (2)しかし, VPAとの併用例では, CBZならびにCBZ-Eの蛋白結合比率はいずれも低下する. 4.従来のVPA製剤に代えて, VPAの徐放製剤を投与した場合の血中濃度の日内変動を検討した. その結果, 徐放製剤は1日1回の投与でも, 定常状態で, 既存製剤を1日2回に分けて投与するときとほぼ等しい日内の血中濃度が維持できた.
|