1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570480
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Research Institution | Institute for Developmental Research |
Principal Investigator |
仙波 禮治 発達障害研究所, 周生期学部, 室長 (00090431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 英子 発達障害研究所, 周生期学部, 研究助手 (10393141)
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Keywords | 脳損傷の診断 / 生化学的診断法 / 酵素免疫測定法 / γ-エノラーゼ / NSE / S-100蛋白 / CKB / Go蛋白 |
Research Abstract |
脳障害がおきると、神経細胞が破壊され、破壊された細胞内の物質が脳脊髄液や血液中に漏出する。この漏出量を定量することによって、脳損傷の有無や程度を診断する試みを行っている。これまでに、マーカーとしてγ-I/ラーゼ、S-100蛋白、CKBの有用性の比較検討を終え、さらに、新しいマーカーとして、Go蛋白に注目した。高感度酵素免疫測定法と、免疫組織化学的方法によってこの蛋白の生体における分布を検討したところ、Go蛋白は、極めて神経特異性の高いことが明らかになった。そこで本年は、脳損傷を起こしたラットの脳脊髄液と血液中のGo蛋白量を測定し、診断のためのマーカーとしての有用性をγ-エノラーゼと比較した。 脳脊髄液中のGo量は、脳損傷を起こしたラットでは健康なラットのレベルの10倍程度にまで上昇し、脳損傷のマーカーとして有用であることが分かった。しかし、その上昇の程度はγ-エノラーゼに比べて低く、有用性は劣ると考えられた。血液中に漏れ出るGoの量も僅かであり、実用性は見いだせない。結局、現在のところ一番優れているマーカーはγ-エノラーゼと考えられた。Go蛋白は神経特異性がγ-エノラーゼよりも高いにも関わらず、有用性が低い理由は、この蛋白が本来細胞膜に埋め込まれた蛋白であり、神経細胞の障害があっても容易には脳脊髄液や血液に溶け出てこないためであろうと考えられた。より良いマーカーを探す際に、神経特異性だけでなく、脳脊髄液への溶け出易さも重要なファクターとして考える必要があることを教えられた。 上記の研究は何れも、脳損傷の有無や程度を知るための優れたマーカーを探す研究であったが、損傷された神経細胞の種類を脳脊髄液の検査で知る方法を開発したいと考え、Calbindin含有ニューロンの損傷を知る方法を現在開発している。すでに抗体価の高い血清を作ったので、近い将来にこれを用いた免疫測定系をつくる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Asano,T.,;Semba,R.,;Kamiya,N.,;Ogasawara,N.,;Kato,K.: Journal of Neurochemistry. 50. 1164-1169 (1988)
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[Publications] Aono,S.,;Sato,H.,;Semba,R.,;Kashiwamata,S.;Eng.L.F.: Journal of Neurochemistry. 50. 717-721 (1988)
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[Publications] Aono,S.;Sato,H.,;Semba,R.,;Kashiwamata,S.;Eng.L.F.: Medical Science Research. 16. 507-509 (1988)
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[Publications] Aono,S.;Sato,H.,;Semba,R.,;Kashiwamata,S.: Biology of Neonate. in press.
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[Publications] Sato,H.,;Asaoka,K.,;Semba,R.,;Aono,S.;Kashiwamata,S.: Biomedical Research. 9. 525-532 (1988)
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[Publications] Asano,T.,;Kamiya,N.,;Semba,R.;Kato,K.: Journal of Neurochemistry. 51. 1711-1716 (1988)