1986 Fiscal Year Annual Research Report
ランゲルハンス細胞の紫外線傷害における活性酸素の役割
Project/Area Number |
61570489
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀尾 武 京大, 医学部, 助教授 (90026914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 良樹 京都大学, 医学部, 講師 (30127146)
段野 貴一郎 京都大学, 医学部, 講師 (00115883)
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Keywords | ランゲルハンス細胞 / 紫外線 / 活性酸素 / スーパーオキシドディズムターゼ |
Research Abstract |
表皮ランゲルハンス細胞は、抗原提示細胞として細胞性免疫の成立に重要な役割を演ずる。中波長紫外線(UVB<【320^(nm)】)はランゲルハンス細胞を傷害し、接触アレルギーの成立を抑制することが知られてきたが、その損傷機序は不明であった。われわれは、表皮角化細胞の紫外線傷害に活性酸素が関与することを見出したが、今回、ランゲルハンス細胞の傷害における活性酸素の影響を検討した。 モルモット背部皮膚に対して、蛍光灯型sunlampを光源としてUVBを1回照射し、5日後に照射皮膚の生検を行って、表皮シートを作製し、ATPase陽性のランゲルハンス細胞の数を算定した。1.UVB(0.9または2.7J/【cm^2】)によりランゲルハンス細胞の数は照射前の857±69/【mm^2】から261±21/【mm^2】(0.9J/【cm^2】照射)、175±33/【mm^2】(2.7J/【cm^2】照射)に減少した。一方、UVB照射直前にsuperoxide anion(【O(^-_2)】)の消去剤であるsuperoxide dismutase(SOD)を皮内注射しておくと、ランゲルハンス細胞の減少は、それぞれ443±27/【mm^2】(0.9J/【cm^2】)、307±26/【mm^2】(2.7J/【cm^2】)と有意(P<0.001)に抑制された。2.catalase,D-mannitol,L-histidine等の他の活性酸素消去剤には、紫外線傷害からランゲルハンス細胞を防御する効果はみられなかった。3.SODの不活化剤であるdietkyldithiocarbamateを投与することにより、紫外線傷害が逆に増強された。 以上の結果より、紫外線が照射されると皮膚において【O(^-_2)】およびそれて派生する活性酸素が産生され、ランゲルハンス細胞の膜構造を損傷する可能性が強く示唆された。今後は、in vitroの実験においても検討を加える予定である。
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