1986 Fiscal Year Annual Research Report
表皮ケラチノサイトのビタミンA結合蛋白に関する実験的研究
Project/Area Number |
61570492
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 奈津子 阪大, 医学部, 助手 (60135697)
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Keywords | ビタミンA / レチノイン酸 / レチノイン酸結合蛋白 / ケラチノサイト / ケラチン蛋白 |
Research Abstract |
ビタミンAには表皮の分化調節作用があることは明らかであるが、この作用は細胞内のレセプター蛋白を介して発現すると考えられている。本研究では培養表皮ケラチノサイトを用いてin vitroにおけるレチノイン酸の分化調節能を明らかにし細胞内のレチノイン酸結合蛋白のレベルを検索した。人表皮より採取したケラチノサイトは体外で培養すると増殖分化し、正常人皮膚に類似した構造を再構築する。ビタミンA欠如培地で増殖させた細胞は扁平化し角質層を形成するようになり通常の培養ではみられない高分子ケラチンを産生するようになった。この培養液にレチノイン酸を添加するとこの変化は消失した。一方、SV40形質転換ケラチノサイトは角化傾向をもたず増殖しつづける細胞であるが、これをビタミンA欠如培地で培養したところ、増殖抑制はみられたが、形態及びケラチン蛋白組成の変化はみられなかった。これら2種の培養ケラチノサイトよりcytosol分画を採取し、【^3H】-レチノイン酸とincubateした後charcoal処理し、蔗糖密度匂配遠心した。各分画の放射活性を測定しレチノイン酸結合蛋白の存在レベルを測定した。その結果、正常人表皮より採取した培養ケラチノサイトには13.7pmol/mg蛋白のレチノイン酸結合蛋白が存在し、SV40形質転換ケラチノサイトのそれは6.8pmol/mg蛋白であった。この差はこの2種の培養ケラチノサイトのレチノイン酸に対する反応性に関係すると考えられた。又、この結合蛋白は基底細胞様の細胞よりは角化傾向をもつ細胞の方に多く存在することが示唆された。
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[Publications] Okada,N.;Kitano,Y.;Yoshikawa,K.: Journal of Inuestigative Dermatology. 87(1). 159 (1986)