1986 Fiscal Year Annual Research Report
^<10>B化合物の黒色腫細胞内集積性の解析と熱中性子捕捉効果増強
Project/Area Number |
61570493
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
市橋 正光 神戸大, 医学部, 助教授 (00030867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 豊 神戸大学, 医学部, 教授 (10073743)
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Keywords | ボロン / 熱中性子捕捉 / B-16黒色腫 |
Research Abstract |
熱中性子捕捉効果による癌治療では、ボロン化合物の腫瘍細胞内集積性が成否を決定する最も大きな要因である。研究代表者らは、移植黒色腫担癌ハムスターに【^(10)B-1】-paraboronophenylalanine.HCl(【^(10)B-1】-BPA)を前投与した後、熱中性子を照射し腫瘍の増殖抑制効果を見い出している。本研究では、【^(10)B-1】-BPAを用いた熱中性子療法の効果を一層強め、腫瘍細胞の選択的致死を亢めるための実験を行い、以下の3点の結果を得た。 1.成果:(1)B-16黒色腫細胞を用い、【^(10)B-1】-BPA添加条件下に【^3H】-チロシンの細胞内取り込みと集積性を追求し、細胞内【^3H】放射活性が、【^(10)B-1】-BPA濃度に逆相関して減少した。しかし、同じ条件でも、【^3H】-glutamateの取り込みは【^(10)B-1】-BPAの濃度と相関性を示さなかった。Lineweaver Burkplotの解析から非競合障害であることも明らかになった。従って、逆に、チロシンは黒色腫細胞による【^(10)B-1】-BPAの取り込みを抑制することが明らかとなった。(2)B-16黒色腫細胞を、チロシンとフェニールアラニン欠乏条件(DME-M)で培養し、熱中性子を照射后コロニー法で致死効果を調べた。【^(10)B-1】-BPA濃度20または50μg/mlのいずれの濃度においてもDMEMでpre-incubationされた細胞は通常のMEMに【^(10)B-1】-BPAを同じ濃度溶解させた場合に比べて致死効果の増大がみられた。(3)アルカリ溶融法によるB-16黒色腫細胞内ボロンの定量では、DMEMとMEMに【^(10)B-1】-BPAを添加した場合、D-MEMで有意に高いボロン量が認められた。 2.結論:チロシンが培養B-16黒色腫細胞の【^(10)B-1】-BPA取り込みによる細胞内集積性を抑制するので、動物またはヒト黒色腫治療に【^(10)B-1】-BPAを用いるならば、チロシンとフェニールアラニンを欠乏させた食餌を与えた後に【^(10)B-1】-BPAを投与すると熱中性子捕捉効果が一層強まることが示唆された。また、【^(10)B-1】-BPAは黒色腫細胞に特異的なアミノ酸の取り込み活性と関連して細胞内に集積すると考える。
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[Publications] 市橋正光: Skin Cancer. 1. 66-70 (1986)
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[Publications] 市橋正光: 放射性生物研究.
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[Publications] Hiroshi Fukuda: Int.J.Radiat.Biol.51. 167-175 (1987)
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[Publications] Yutaka Mishima: TANSAO. 53. 33-74 (1986)