1987 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト培養・正常メラノサイトの増殖分化形質発現・癌化機構に及ぼすTPAの影響
Project/Area Number |
61570495
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
堀越 貴志 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40145587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 博之 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20183444)
神保 孝一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30094238)
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Keywords | ヒト培養メラノサイト / TPA / Cキナーゼ / コレラトキシン / OAG(合成グリセリド) |
Research Abstract |
1.Cキナーゼの選択的阻害剤であるH7をTPAを含む培養液で, 培養中のメラノサイトに添加した. メラノサイトの増殖は, 20μMのH7で約65%, 50μMのH7で85%阻害された. (^3-Thimidineの取り込み量にて比較した)H7の増殖阻害効果は, 濃度依存性であった. 2.H7は, メラノサイトのチロシナーゼ活性には何ら変化を与えなかった(20μMのH7の存在下) 3.他の細胞系では, 合成グリセリドであるOAG(1-Oleogl-2-acetyl glycerol)がTPAと同様にCkinaseを活性化することが知られている. そこで, TPA無添加のメラノサイトに20μg/mlのOAGを加えた. 添加後24時間でメラノサイトの細胞質の膨化, 樹枝状突起の短縮, 培養フラスコからの離脱を認めた. 48時間でほぼすべてのメラノサイトが死滅した. 4.OAGのメラノサイトに対する毒性は, 20μMのH7の添加により, 低下した. すなわち^3H-thymidineの取り込み量は, 通常のTPA存在下の取り込み量に比べ約35%であった. OAGのみでは, 取り込みは認められなかった. 5.メラノサイトを種々の条件下で培養し, リン酸化蛋白の同定を試みた(SDS-PAGE). 分子量2.2〜95kdの約14本の蛋白にリン酸化を認めた. しかし, H-7添加により, リン酸化蛋白の異同は認められなかった. 6.以上からメラノサイトの増殖は, TPAによるCキナーゼの直接的な活性化によるのではないことが示唆され, 持続的なTPA添加によるCキナーゼの液量がメラノサイトの増殖維持に関与している可能性が示された.
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[Publications] Horikoshi T;Carter DM: Structure and Function of Melanin. 3. 95-102 (1986)
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[Publications] Hashimoto K. ;Horikoshi T. ;Nishioka K. ;Yoshikawa K. ;Carter DM: Br J Dermatol. 115. 205-209 (1986)
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[Publications] 神保孝一, 堀越貴志, 伊東佳子, 上田孝子, 三浦俊祐, 伊藤祥輔, 春日孟: Minophagen Rev. 31. 298-303 (1986)
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[Publications] Takahashi H. ;Horikoshi T.;Jimbow K.: Am J Dermatopathol. 9. 189-197 (1987)
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[Publications] T Horikoshi: J Invest Dermatol.
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[Publications] T Horikoshi: J Invest Dermatol.