1988 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージの分化と分泌:ヒト及びマウスの培養細胞並びに炎症モデルを用いた研究
Project/Area Number |
61570497
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Research Institution | Iwate Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊崎 誠一 岩手医科大学, 医学部・皮膚科学講座, 講師 (70118206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 利彦 岩手医科大学, 医学部・皮膚科学講座, 助手 (20137524)
大山 展毅 岩手医科大学, 医学部・皮膚科学講座, 講師 (50177945)
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Keywords | マクロファージ / 単球 / 樹枝状細胞 / IA抗原 / Sー100蛋白 / リゾチーム / HLAーDR / 慢性肉芽腫性炎症 / 過敏反応 / 鼠らい / プラスミノーゲン・アクチベーター / ウロキナーゼ |
Research Abstract |
1)尋常性狼瘡、顔面播種状粟粒性狼瘡、環状肉芽腫、サルコイドーシス、異物肉芽腫等、種々のヒトの慢性肉芽腫性炎の臨床例をあつめ、これらの疾患あるいは炎症期による差異の特徴を組織学、免疫組織化学的につかみ、その後この一連のマクロファージの培養実験あるいは鼠らいの動物実験で検索してきた線溶系蛋白分解酵素ならびに蛋白分解酵素阻害物質に関連する物質を免疫組織学的に検索しようとした。 2)上記の疾患の臨床生検組織を、酵素化学用PLP固定液処理後、凍結切片を作製し、マクロファージ系の細胞のマーカーを染色するため抗Sー100蛋白、抗リゾチーム、抗HLAーDRの各抗体、並びに抗ウロキナーゼ型PA抗体を一次抗体として用いた。反応後、主としてPAP法を用いて染色を行った。 3)過敏反応陽性型の代表として尋常性狼瘡の成績をまとめると、このような慢性肉芽腫性炎症を構成する組織球には、Sー100蛋白陽性のものとリゾチーム陽性のものとがあることが判明した。どちらもHLAーDR(IA抗原)陽性であった。Sー100蛋白陽性の組織球は、胞体が小さく、樹枝状突起を伸長する細胞であった。一方リゾチーム陽性細胞は胞体が大きく、類上皮細胞の形態をとり、一部で巨細胞どなるものもあった。これらもHLAーDR陽性であったので、マウスのIA抗原陽性細胞として報告したものと相同のマクロファージと考えられた。しかしマウスではSー100蛋白陽性細胞はみられなかったので、ヒトの過敏型類上皮細胞でみられたSー100蛋白陽性細胞は、ヒトで特によく分化した細胞の系統ではないかと思われる。過敏反応陰性型の代表としての異物肉芽腫では、どちらもあまりみられず、他の疾患では両者の中間であった。抗ウロキナーゼ型PA抗体を用いると一部の組織球が強い陽性反応を示したが、この反応と、マクロファージの分化との関係を解明するに至らなかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T.Hibino;S.Izaki;M.Ohkuma;S.kon;S.Thorsen;B.Astedt: FEBS Letters. 231. 202-206 (1988)
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[Publications] T.Hibino;S.Izaki;H.Kimura;M.Izaki;S.Kon: Journal of Investigative Dermatology. 90. 505-510 (1988)
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[Publications] S.Izaki;T.Hibino;O.Tanji;P.Hsu;I.Segawa;S.Kon: Dermatologica. (1989)
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[Publications] 伊崎誠一,瀬川郁雄,日比野利彦,東海林真司,大熊真治,丹治修,許培〓,下田肇,昆宰市: 日本皮膚科学会雑誌. 98. 1356-1358 (1988)
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[Publications] 伊崎誠一,日比野利彦,昆宰市: 第17回東北止血・血栓研究会記録. 17. 29-32 (1988)
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[Publications] 伊崎誠一: 現代皮膚科学大系年刊版'89. (1989)
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[Publications] S.Izaki;T.Hibino;H.Shimoda;M.Izaki: "Plasminogen activator in granutomatous inflammation.In:Chemical Mediators of Inflammation and Immunity.Ed.by S.Cohen,H.Hayashi,K.Saitoh & A.Takada" Academic Press, 329-344 (1986)
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[Publications] S.Izaki;S.Tokairin;T.Hibino;I.Segawa;M.Izaki: "Secretion of plasminogen activator from culured mouse macrophages:A possible immunologic stimulation mechanism.In:Fibrinolysis:Current Prospects." John Libbey,Co.,Ltd., 87-92 (1988)