1986 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肝細胞癌に対する門脈塞栓術の基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
61570515
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
水口 和夫 阪市大, 医学部, 助教授 (50145794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 澄夫 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40187951)
中塚 春樹 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60137213)
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Keywords | 原発性肝細胞癌 / 門脈塞栓術 / トロンビン液 / フィブリノーゲン液 / リピオドール |
Research Abstract |
1.門脈塞栓物質の開発;トロンビン液,フィブリノーゲン液に油性造影剤リピオドールを同時に混和して塞栓物質Lp-F糊を作成した。6F-80cmダブルルーメンバルーンカテーテルを使用してLp-F糊のカテーテル通過性及び性状をトロンビン濃度並びにLp-F糊作成時からの経過時間から検討した。トロンビン溶解液1mlに対してトロンビン含量2,5,10,20,50U/mlの五段階のトロンビン溶液を作成し、作成後注射器の中で10,30,60,90,120,240,秒間良く混和してカテーテルの通過性を検討した。この結果トロンビン濃度5U/mlのLp-F糊の30秒間混和した塞栓物質では通過性は容易であったが、通過後の性状は軟らかく塞栓物質としては不満足であり、また60秒間混和したものでは通過性が悪かったが、通過後の性状は塞栓物質としては満足すべき固さを有していた。即ち、門脈塞栓物質としてはトロンビン濃度5U/mlのLp-F糊を作成後30〜60秒間にカテーテルを通じて注入するのが臨床的にも最適と考えられた。他の濃度のLp-F糊では作成後注入までの時間が極端に短かったり、逆に長かったりで臨床の場で用いるには満足のいく物質ではなかった。 2.Lp-F糊による成犬に対する門脈塞栓効果を検討したところ、Lp-F糊の塞栓持続時間は2週間後では4例中4例門脈が閉塞していたが、4週間後には4例中2例に再開通がみられた。 3.5例の成犬に対してGOT,GPTの変動を経時的に検討した結果、一過性上昇を示した例が2例にみられたが、2週後には術前値に回復していた。T-Bil,ChEには明らかな変動は認められなかった。以上より、Lp-F糊は短期間の門脈塞栓物質としては有効であるが、更に長期間の塞栓を行なうためには、他の塞栓物質の開発が望まれこれを今後の目標としたい。
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