1988 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肝細胞癌に対する門脈塞栓術の基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
61570515
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Research Institution | OSAKA CITY UNIV. |
Principal Investigator |
水口 和夫 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (50145794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 澄夫 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40187951)
中村 健治 大阪市立大学, 医学部, 助手 (00145781)
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Keywords | 門脈塞栓術 / 肝細胞癌 / 門脈内腫瘍栓 / 塞栓物質 |
Research Abstract |
イソブチルー2ーシアノアクリレートとリピオドールの混和物(LpーIBC)を塞栓物質とした門脈塞栓術を成大に施行しその剔出肝の病理学的検討を行なった。門脈内腔にHE染色されない網目状構造物が充満し辺縁および内部に赤色血栓形成が見られた。この血栓を混じた構造物は全例門脈壁と完全に付着し壁との間に間隙を認なかった。2および4週間後には辺縁から血栓の器質化がみられたが、網目状構造物は器質化を受けていなかった。器質化局所では、2週後に好中球、大食細胞の浸潤が目立ったが4週後には細胞浸潤は目立たず膠原繊維の増殖が主であった。門脈壁およびその周囲組織には2週後には大食細胞・リンパ球や好中球の浸潤が見られた。4週後には細胞浸潤はほとんど見られなかった。壁構造の破壊は認められなかった。塞栓領域の肝小葉は塞栓直後には組織学的異常所見は見られなかったが、4週後には肝細胞の萎縮が見られ脂肪変性・細胞索の配列の乱れも見られた。 臨床例での手術単独例・肝動脈塞栓術と手術併用例・肝動脈塞栓術ならびに門脈塞栓術と手術併用例における相互の腫瘍部ならびに非腫瘍部の肉眼的・組織学的などの検討項目の比較検討は各症例数が少ないこともあって充分には出来なかった。しかし門脈塞栓術後の非癌部肝葉の代償性肥大についての検討はCTで容易に施行できるために経時的に経過をおうことができた。即ち、右一次分枝塞栓例では非塞栓葉の体積増加が明瞭であり反対に塞栓肝葉体積は減少していた。左一次分枝、右二次分枝、右三次塞栓例では殆ど非塞栓葉の体積増加が見られなかった。肝の代償性肥大を目的とした試みについては門脈結紮術などが報告されているが、門脈塞栓術でも非塞栓肝葉の体積増大が充分に可能で外科摘出術前処置として有用と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松岡利幸: 日本医学放射線学会雑誌.
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[Publications] 小川隆平: 日本血管造影interventional radiology雑誌. 3. 118-119 (1988)
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[Publications] 神納敏夫: 日本消化器病学会雑誌. 85. 755 (1988)