1987 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂症患者への最適薬剤選択の指針-抗精神病学の薬理作用スペクトラムと家庭環境・臨床効果の関連の検討から
Project/Area Number |
61570518
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安西 信雄 東京大学, 医学部(病), 助手 (10111494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 直樹 東京大学, 医学部, 医員
岡崎 祐士 長崎大学, 医学部, 助教授 (40010318)
宮内 勝 東京大学, 医学部, 助手 (20010465)
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Keywords | 精神分裂病 / 抗精神病薬 / 薬理作用スペクトラム / 二重盲検法 / 血中濃度 / 陽性症状 / 陰性症状 |
Research Abstract |
1.抗精神病薬の行動薬理学的再評価 本研究の一環として, 比較的最近登場した2薬剤を含め4薬剤につき以前に行なったと同じ方法で本年度に新たに行動薬理学的評価を行なった. 評価した薬剤の中には今回の治験で用いるZotepineも含まれており, その特徴づけについてのデータが得られた. これにより新しく登場した薬剤を含め抗精神病薬の薬理作用につき, その特徴づけの手がかりがさらに明細化され, その知見は本年8月の第16回国際神経精神薬理学会にて発表の予定である. 2.治験の実施 本研究の中心は二重盲検(dummy)法を用いた抗精神病薬投与による分裂病症状の改善の評価であり, 第一選択で投与しうる既存薬剤の中で薬理作用スペクトラムの点から最も特徴のある薬剤として, 抗NA作用が強いThioridazine, 抗HT作用が強いZotepine, 純粋に抗DA作用が強い薬剤とみなすことができるHaloperidolの3薬剤を選択し, プラセボ作成, コントローラ(当院薬剤部担当)による患者の無作為振り分け, 血中濃度測定(当院薬剤部担当)の準備, 臨床評価の訓練を実施し, また本院医薬品臨床治験委員会に研究計画を申請し承認を得て, 現在治験の継続中である. 本研究は非服薬(未治療または1カ月以上非服薬)の精神分裂病患者のうち, informed consentの得られた患者を対象として実施しているが, この条件を満たす患者は多くは存在せず, もちろん治療関係と治療的配慮を優先するため, 対象例の増加に努力しているが, 現在のところまだ10例に達していない状況である. 本研究は二重盲検法によるものであり, 目標症例数に達していない状況でキー・オープンをすることはできない. したがって, 研究期間の延長を申請し, その間に症例を増やして目標症例数に達するよう努力しているところである.
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