1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570523
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐藤 啓二 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80093417)
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Keywords | 精神分裂病 / 免疫組織化学 / 神経伝達物質 / ペプチド / 死後脳 / 霊長類 |
Research Abstract |
本年度は61年度、62年度に引き続き、慢性精神分裂病患者および正常対象者の大脳皮質における神経伝達物質あるいは修飾物質の特徴を調べる目的で、それぞれの死後脳の免疫組織化学を実施した。死後脳は従来どうり、滋賀医科大学附属病院並びに滋賀県下の病院より入手した。第一次抗体としてサブスタンスPに対するモノクローナル抗体を用い、アビヂン・ビオチン・ペロキシダーゼ法に従って処理した。 本プロジェクトの基礎的実験の追加としてニューロテンシンに対する免疫組織化学を行った。このペプチドを含む神経系はサブスタンスPやソマトスタチン含有神経系とは異なり、前帯状皮質に特異性があり、多数の陽性線維が観察され、精神分裂病の病理との関係で興味が持たれた。以上はニホンザルでの所見であるが、今後ヒト脳においても検索する。 ヒト正常対象者脳の前頭前野、例えばArea24に多数のサブスタンスP線維が観察され、その線維の形態および分布様式はニホンザルで認められたものに類似していた。その分布はある領域全体では一定で、I〜II層に細かい顆粒状の終末様構造が多数観察され、III〜IV層では比較的直径の太い線維が加わり、更に深層になると直線的に走行する線維が顕著となっていた。同様な所見が他の前頭葉皮質にも認められた。ヒト前頭葉皮質にはサブスタンスP陽性細胞体が観察され、その形態はサルに類似し、紡鐘型あるいは多極型であった。 現在のところ、精神分裂病を組織化学的に特徴づけられる所見は得られていない。私どもが今回、注目しているのは神経ペプチドを含む神経系で、そのような系の生理的意義は未だ定かでないが、これらの生物活物性質系は慢性精神分裂病において注目されている。今後、この疾患における様々な皮質ニューロン系の特徴をペプチド免疫組織化学的方法や他の組織化学的方法を用い検討する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Iritani,S.;Satoh,K.;Fujii,M.;Fibiger,H.C.: Regulatory Peptides(International Symposium on Tachykinins/Graz). 22. 94 (1988)
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[Publications] Satoh,K.;Iritani,S.;Fujii,M.;Takahashi,S.: Biomedical Research(Supplement 1). 9. 123 (1988)
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[Publications] Satoh,K.;Iritani,S.;Fujii,M.;Takahashi,S.: Society for Neuroscience Abstract. 14. 671 (1988)
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[Publications] Iritani,S.;Fujii,M.;Satoh,K.: Brain Research Bulletin. 22. (1989)
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[Publications] Matsumura,H.;Fujii,M.;Iritani,S.;Satoh,K.;Nagatsu,I.: Neuroscience Research. (1989)