1986 Fiscal Year Annual Research Report
脳循環動態および脳波周波数解析による老年者の痴呆性疾患の鑑別に関する研究
Project/Area Number |
61570533
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
清水 信 慈恵医大, 医学部, 助教授 (90056622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 洋 東京慈恵医科大学, 医学部, 助手 (20151532)
西川 嘉伸 東京慈恵医科大学, 医学部, 講師 (00130188)
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Keywords | 老年痴呆 / 脳血管性痴呆 / 鑑別指標 / 脳循環動態 / 頸動脈血流量 / 血管弾性率 / 末梢血管抵抗 / 脳波周波数分析 |
Research Abstract |
1、超音波定量的血流測定装置(以下QFM)を用いて、痴呆患者の頸動脈血流量を測定し、脳循環動態の3つの指標(頸動脈血流量,血管弾性率:Ve,末梢血管抵抗:Zo)を用いて、中等度以上の痴呆を有する老人の臨床経過,臨床症状,各種のスケールのうえから診断のはっきりしないものを除外し、老年痴呆(SDAT),局在型脳血管性痴呆(CVD-L),びまん型脳血管性痴呆(CVD-D)の3群に分類した。 SDAT群:32列(平均年齢76.9±11.5)、CVD-L群:27列(平均年齢72.9±11.5)、CVD-D群:31例(平均年齢79.6±5.8)の3群について比較検討し、以下の結果を得た。(なお、対照として慈恵医大第四内科よる報告されている七○歳代の健常者の標準値を採用した。) (1)CVD-L群とCVD-D群との間に質的な差異は認めず、頸動脈血流量が低下し、ZoとVeが増加していた。 (2)SDAT群は、CVD群と同様に、頸動脈血流量が低下し、Zoが上昇していたが、Veは正常範囲であった。 していたが、Veは正常範囲であった。 (3)両群の間でVeにかなりはっきりした差異があることは、VeがSDATとCVDの鑑別指標として有望なパラメーターであることを示唆している。2、上記の研究と平行して、脳波のパワースペクトル分析によるSDATとCVDの鑑別についても検討した。周波数帯域はδ,θ,slow-α,fast-α,β,の5帯域に分割し、total power spectrumと各帯域の比を算出し、検討した。その結果SDATはCVDに比べてδ帯域の増加と、slow-α帯域の減少が著しいといった脳波所見上の特徴をしめす可能性が示唆された。今後痴呆の重症度との関連から、重症のCVDの症例を増やして検討する必要がある。
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