1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヨードサイロニン結合能の増大を示す新しいアルブミンバリアントに関する研究
Project/Area Number |
61570550
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藪 由紀子 阪大, 医学部, 助手 (60174570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 雄一 大阪大学, 医学部, 講師 (20117427)
|
Keywords | アルブミン / バリアント / サイロキシン / トリヨードサイロニン / 解離定数 / 還元剤 / 構造転移 |
Research Abstract |
Dysalbuminemic Euthyroid Hyperiodothyroninemia;type【III】は、3,3´,5-triiodothyronine(【T_3】)に結合増大を示す新しいバリアントアルブミン(ALBvar.)である。本年度の研究は主としてこのALBvar.について検討を行った。臨床上、代謝的に正常であるにもかかわらず、血中【T_3】濃度の著明な上昇、アナログ法のキットで測定した血中遊離【T_3】濃度の著明な(偽)高値で特徴づけられた。このALBvar.は【T_3】に対する親和恒数が5.1×【10^6】【M^(-1)】と正常アルブミンの約8倍に増大し、又thyroxine(【T_4】)に対しても2.5倍増大していた。精製したALBvar.はSDS polyacry amide電気泳動(PAGE)で66Kの位置に1本のバンドとして泳動され、SDS free PAGEではmonomerとdimerに分かれ、正常(N-)ALBとの間に差を認めなかった。電気泳動上ALB分画には正常の2-3倍の【^(125)I】-【T_3】が結合するが、この増大した結合は80mM Barbitone,10mM ANSで抑制された。又、【Cl^-】によっても抑制をうけた。これらの性状は、typeI(FDH)のALBvar.が【T_4】に対して示す性状と非常によく一致し、症候群としての類似性が証明された。精製したALBを【^(125)I】-【T_3】で標識し等電点電気泳動で分画すると、N-ALB,ALBvar.とも8つの【T_3】結合バンドを認め、そのpI(等電点)は両者でそれぞれ一致した。しかし、強い【T_3】結合バンドはN-ALBでpIの高い方(5.63,5.40)に、ALBvar.ではpIの低い方(5.24,5.09)に認められた。内因性のヨードサイロニンを除去すると、特にALBvar.でpIの低い2本のバンドが増強され、又、外因性非標識【T_3】を添加すると、これらのバンドが先に飽和されることより、これらpIの低いバンドは【T_3】に対して親和性の強い成分と考えられた。N-ALBのこれら2本の結合バンドは少量の外因性【T_3】により先に飽和されることより、type【I】の場合と同様、type【III】のALBvarの【T_3】結合の増大も正常にも存在する【T_3】に対して親和性の強いALB成分が量的に増大している結果と推測された。現在、これらdys al buminemic syndromeにおけるiodothyronine結合増大にmixed disulfideの関与があるか否かにつき検討を始めた。
|
-
[Publications] Yukiko Yabu,et al.: J.Endocrinol.Invest.in press.(1987)
-
[Publications] Yukiko Yabu,et al.: J.Clin.Endocrinol.Metab.in submission.
-
[Publications] 藪由起子,他: ホルモンと臨床. (1987)
-
[Publications] 藪由起子: "内分泌学の進歩 第4巻(甲状腺ホルモン輸送蛋白異常)" 成長科学協会,富士ホルモンカンファランス世話人会, 19 (1986)