1986 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺刺激ホルモン(TSH)遺伝子の解析とTSH異常疾患の診断への応用
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61570551
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮井 潔 阪大, 医学部, 教授 (30028394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 謙一 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (20037394)
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Keywords | TSHβ遺伝子 / 先天性TSH欠損症 / 1番染色体 |
Research Abstract |
TSHβ鎖の遺伝子構造については既に我々の研究室でクローニングに成功しその構造も決定し、また1番染色体上にマップされることも明らかにされているが、本年度はこれを基礎にして、我々が以前に発見した先天性TSH単独欠損症の遺伝子解析を行なった。本症は、近変係数1/64の近親婚両親から出生した姉妹例である。まずTSH遺伝子が1番染色体にあることから、本患者の1番染色体をhigh resolution banding法で解析したが大きな欠失・転座などは見出されなかった。そこで次に患者及び両親からヘパリン加採血を行ない白血球から直接、あるいは一部をFBVirusを用いて採化し、これをDNA供給源として解析した。次に先に得ているTSHβ遺伝子をプローブとして、Souther blotを行なった。すなわち制限酵素としてEcoR【I】,Hind【III】,PvU【II】などを用い、0.7%アガロースゲルで電気泳動し、DNAをニトロセルローズフィルター上に移し、【α^(32)】P標識のプローグ(320bp程対)でハイブリダイズした。EcoR【I】では2.2kbp,3.2kbpの2本のバンドが、またHind【III】Pvu【II】ではそれぞれ17Kbp,2.0Rbpのシングルバンドが検出されたが、これらは対照とした健常人と差がなかった。これから本症ではTSHβ遺伝子附近に大きな欠失はないと考えられる。そこで患者DNAをBgl【II】で完全消化し、XL・47BamH【I】armを用いTSHβ遺伝子Bgl【II】4.4kbpをクローニングした。そしてM13法で塩基配列を決定した結果、次の4つの点で正常TSHβ遺伝子と異なることが明らかとなった。すなわち(1)第2エクソン内にある分泌型TSHβの29番目アミノ酸に相当するtripletのうち、1st tripletが次のように置換されている【^(29)Gly】(GGA)→【^(29)Arg】(AGA)(2)第2イントロン後半での3bpの欠失(3)(2)の少し下流にある1bpの置換、(4)3´flanking regionにある3bpの欠失。そこでその意義などについてさらに詳細に検討している。
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Research Products
(1 results)