1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570556
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
赤澤 昭一 長崎大, 医学部, 助手 (10145261)
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Keywords | 糖尿病 / 奇形 / 器官分化初期 / embryo culture / 過血糖・低血糖 |
Research Abstract |
糖尿病母体からの新生児に生じる奇形の発生要因を追求するため、器官分化の初期からほぼその完成期までin vitroで母体内と同様に発育させることが可能なratのwhole embryo culture systemを用い検討した。 1)まず過血糖の影響を検討した。ラット正常血清(コントロール血清)に600,900,1200mg/dlのD-glucoseを添加した結果、900,1200mg/dlのD-glucoseの濃度の添加で、それぞれ5%,20%の頻度で、神経管閉鎖不全等の大奇形の発生を認めた。以上の結果から過血糖自体も催奇形作用を有するが、奇形を発生させるためには、きわめて高濃度のグルコースの添加を必要とした。従って過血糖以外の要因の検討を行った。 2)低血糖の影響。正常ラットの腹腔内にregular insulin(10unit/kg・体重)を投与し、低血糖培養液を作製した。この低血糖培養液で培養した時、embryoの発育・奇形の発生は、低血糖にさらす時期により著しく異っていた。すなわち培養前半24時間(妊娠第9日〜10日)低血糖にさらした時著しい発育遅延とともに神経管の閉鎖不全などの大奇形の発生を40%の頻度に認めた。一方培養後半24時間(妊娠第10日〜11日)低血糖にさらしても発育遅延、奇形の発生はほとんど認めなかった。この機序を追求した結果、低血糖で奇形が発生するcritical period(培養前半24時間,妊娠第9日〜10日)に相当する時期のembryoは、エネルギー産生をGlycolysisに(glucose→pyruvate→lactate)依存している。(この時期以后に除々にTCAcycleのactivityが増加する)embryoがエネルギー産生をglycolysisに依存している時期に低血糖にさらすとglycolysisによるエネルギー産生は減少し(約40%)奇形・発生に導く事実を見出した。この結果をそれぞれ第46回アメリカ糖尿病学会(1986年度ADA)およびヨーロッパ糖尿病学会(1986年度EASD)に発表した。
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Research Products
(1 results)