1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570574
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久保田 一雄 群大, 医学部, 助教授 (00102244)
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Keywords | 血液幹細胞 / 単一細胞培養 / 無血清培養 |
Research Abstract |
In vitroコロニー法を用いた研究から赤血球をはじめとする全ての血球は共通の血液幹細胞から由来することが明らかにされている。In vitroコロニー法は細胞,造血刺激因子,培地の3要素から成立するが、私共はその最も単純な培養系(1個の血液幹細胞を高度に精製されたIL-3を添加した無血清培地で培養)を確率し、上記の血球産生の機序を確認した。その結果in vitroでは血液幹細胞は一個でもIL-3が存在すれば、他の造血刺激因子や補助細胞が存在しなくても完全に分化・増殖できることを明らかにした。そこで本研究では今迄造血を刺激すると考えられてきた蛋白同化ホルモンや単球,Tリンパ球などが1個の血液幹細胞に直接どのような影響を与えるか、またそれらにより分化の方向を目的に応じて調節できるかの2点を明らかにすることを最終目標とした。マウスの造血細胞を用いた実験では、既にIL-3を含む無血清培地で1個の血液幹細胞が混合コロニーを形成することを確認している。即ち5-FUで処理したマウスの脾細胞から1個の血液幹細胞を取り出し、高度に精製されたIL-3を添加した無血清培地で培養すると、各種の血球から成る混合コロニーが形成されること、さらに高度に精製されたEpを添加すると赤芽球を含むコロニーや、各コロニー中の赤芽球の比率が増加することなどを明らかにした。そこで単球やTリンパ球を比較的集めやすい人の造血細胞を用いた方法を確立するため以下の実験を試みた。健常人の末梢血液から各種細胞分離法を使用して血液幹細胞を濃縮し、適当な培地上に細胞を広げ、マイクロマニプレーターを使って個々の細胞をそれぞれ1個づつ別の新しい培地に移し培養した。しかしながら培養条件が現時点では不適当のため、個々の血液幹細胞が十分分化・増殖して混合コロニーを形成するまでには至らなかったが、方法論的には可能と思われるので、培養条件の改善を含めた手技の検討が必要と考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kubota K;Kajigaya S;Ijima H;Saito M;Miura Y: Acta Haematologica Japonica. 49. 27-33 (1986)
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[Publications] Suda J;Suda T;Kubota K;Ihle JN;Saito M;Miura Y: Blood. 67. 1002-1006 (1986)
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[Publications] Sato Y;Suda T;Suda J;Ohsaka A;Kubota K;Saito M;Miura Y: British Journal of Haematology. 64. 657-667 (1986)
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[Publications] 三浦恭定編著,久保田一雄: "「血液幹細胞培養法¨実験設備と器具,培養液,細胞の扱い方,conditioned mediumのつくり方" 中外医学社, 8-34 (1986)
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[Publications] 久保田一雄 著,三浦恭定 編: "「血液幹細胞培養法¨無血清培養法" 中外医学社, 171-179 (1986)