1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト尿コロニー刺激因子の純化とN末端アミノ酸配列の解明および遺伝子クローニング
Project/Area Number |
61570590
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
元吉 和夫 自治医大, 医学部, 助教授 (80137702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠 清彦 自治医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | ヒト尿コロニー刺激因子 / N末端アミノ酸 / サブユニット構造 / ヌクレオチドプローベ / 遺伝子クローニング / ラジオイムノアッセイ / 臨床応用 |
Research Abstract |
私達がこれまでに行ってきた研究からヒト尿コロニー刺激因子(CSF-HU)がヒト単球を刺激してヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の産生を促進させる作用をもった分子量80,000の糖タンパク質であること、さらにCSF-HUを静脈内投与することによって担癌患者の抗癌剤投与後の顆粒球減少症を予防できることが明らかとなった。将来CSF-HUを臨床的に用いるためには大量の純化CSF-HUが必要である。そこで本年度はCSF-HUの遺伝子クローニングを行うための基礎的実験を行ない、以下に述べる事項を明らかにすることができた。(1)すでに報告した方法(Hatake etal.J.Chromatography 344:339,1985)で純化CSF-HUを250μg調製した。この純化CSF-HUは分子量80000であり、分子量40000のサブユニットの2量体であった。(2)純化CSF-HUをトリプシン分解し、23のペプチドをえたところ、その大部分は以前Stanleyらが報告したCSF-1のアミノ酸と一致したが、2つのペプチド(合計40アミノ酸)はCSF-1にはないCSF-HU固有のものであったのでCSF-HUとCSF-1は似ているが明らかに別のタンパクであることが明らかとなった。(3)N末端アミノ酸の配列はGlu-Glu-Val-Ser-Glu-Tyr-Cys-Ser-His-Met-Ile-Gly-Ser-Gly………であった。(4)このアミノ酸配列を規定するヌクレオチドプローベ(Prode 1643)を調製した。(5)Radioimmunoassay系を確立し、CSF-HUをコロニー法によらないで測定できるようになった。しかし正常人血清中のCSF-HUレベルを測定できるほど感度は高くなかった。(6)臨床第二相試験を実施して、CSF-HUの静脈内投与により癌化学療法後の顆粒球減少症を予防できることを統計的有意差をもって明らかとした。
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[Publications] Yukihito Ishizaka: Experimental Hematology. 14. 1-8 (1986)
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[Publications] Kiyohiko Hatake: International Journal of Immunopharmacology. 8. 573-579 (1986)
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[Publications] Kazuo Motoyoshi: Immunobiology. 172. 205-212 (1986)
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[Publications] Kazuo Motoyoshi: Experimental Hematology. 14. 1069-1075 (1986)
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[Publications] Gordon G.Wong: Science. (1987)
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[Publications] Takuji Hanamura: Leukemia. 1. (1987)