1986 Fiscal Year Annual Research Report
胎児外科(Fetal Surgery)に関する実験的研究
Project/Area Number |
61570617
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
秋山 洋 鹿大, 医学部, 教授 (60167856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 啓幸 鹿児島大学, 医学部附属病院, 医員
田原 博幸 鹿児島大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 胎児外科 / 実験胎仔外科 / 横隔膜ヘルニア |
Research Abstract |
本研究の最終目的は胎児外科手術により胎生期疾患の治療の可能性を検討することにあるが、昭和61年度は妊娠家兎を用いて横隔膜ヘルニアのモデル作製実験を行い、胎仔外科手術の管理及び手術の熟達を目標においた。実験は妊娠20〜26日目の家兎を主として用いた。手術当日は術前4-5時間を絶食、輸液路を確保後チオペンタール5-15mg/kgで麻酔薬入、酸素、笑気、ハローセンによる麻酔下にて腹部正中切開で開腹する。家兎は双角子宮で各々2-5羽の胎仔が存在し手術操作は両子宮遠伍端の各々1羽に対し行なった。手術操作を行なう胎仔数を多くすると術後流早産の率が高い傾向が認められるためである。手術操作は子宮壁に8mm程度の切開を加え綿棒を用いて胎仔の左前趾を子宮より引き出し、曲モスキート鉗子を胸腔内より刺入鈍的に横隔膜を破壊し腹腔内臓器を左胸腔内に陥入せしめる。妊娠29日目に胎仔を回収し横隔膜ヘルニア作製成功例では、胃、肝が左胸腔内に陥入し、左肺は右肺に比し低形成を示しているがその低形成の所見は軽度である。家兎胎仔は妊娠20-25日の間に急速な成長を遂げるために25日以後になるとこの手術は比較的容易に行なわれるが、逆にそれ以前は胎仔が小さく手術は殆んど成功しない。一方において横隔膜ヘルニアは妊娠極めて早期におこるため高度の肺低形成を示すものであり同一病態を実験モデルにて作製するためにはより早期に胎仔手術による肺低形成をおこさせる必要があり、現在手術的作製とともにより早期に胸腔内流動パラフィンの注入による肺低形成作製を合わせ行なっている。62年度はこれらの胎仔手術成功率を高めるとともに光顕、電顕レベルでの肺低形成の病態の検討を行ない臨症例での重症横隔膜ヘルニア剖検例での肺低形成所見と対比し肺低形成の病態を解明するとともに山羊における胎児手術の影響を行なう予定にしている。
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