1988 Fiscal Year Annual Research Report
胎児外科(Fetal Surgery)に関する実験的研究
Project/Area Number |
61570617
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
秋山 洋 鹿児島大学, 医学部附属病院, 教授 (60167856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 博幸 鹿児島大学, 医学部附属病院, 医員
野口 啓幸 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (80198580)
高松 英夫 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (50142427)
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Keywords | 胎児外科 / 実験胎仔外科 / 先天性横隔膜ヘルニア |
Research Abstract |
先天性横隔膜ヘルニアの病態の解明と胎児外科手術にっよる胎生期疾患の治療の可能性を検討するために、昭和61年度より、妊娠家兎及びその胎児を用いて、先天性横隔膜ヘルニアのモデル作成実験を行なっている。昭和63年度は、今までの手術手順に従い、出来るだけ早い時期に作成実験を行ない、それと並行して、胸腔内流動パラフィンの注入による肺低形成作成をも合わせて行なった。これまでの経験から、家兎胎仔は、20〜25日の間に急速な成長を遂げる為に25日以後になるとこの手術操作は比較的容易に行なうことが出来るが、特に20日以前の胎仔は極めて小さく術者の手技の習熟にも依るが、穿破の操作を加えることは非常に困難であり、手術操作の侵襲により胎仔は子宮内死亡を起こす率が高くなった。しかしながら臨床上問題となる肺の低形成の病態の解明の為には、より早期にモデルを作成する必要があり、穿破法は限界があると思われた。この点から、胸腔内のspace occupying materialとして非吸収性の流動パラフィンを胸腔内に穿刺注入する実験を平行して行なった。この実験手技は、穿刺のみであるので手術侵襲を少なく出来る点からより日令の小さい胎仔に実験が可能である。しかし流動パラフィンは、粘調であるため注射器での注入操作が意外に難しく、注射針のずれで皮下や対側胸腔にも容易に漏れること、胎仔の成長につれspace occupyとならなくなることから、より適切な注入材料の選択が必要である。 これと平行して昭和63年度は、より大型の動物である山羊を用いて、同疾患のモデルの作成を試みた。母体の麻酔は、腰推麻酔で行ない、胎仔への侵襲を少なくする為に、横隔膜の穿破は行なわず、バルーンを胸腔内に留置する方法を取った。しかし、母体の状態(肺合併症等)が悪いものが多く、長期生存実験に絶えられないことなどにより、今後に課題を残した。
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