臓器移植における特異的免疫抑制法の研究ー脾細胞の門脈内移入の効果についてー

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 61570619
• Research Institution: Nara Medical University
• Principal Investigator: 中野 博重 奈良県立医科大学, 第一外科, 教授 (20075071)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中島 祥介 奈良県立医科大学, 第一外科, 講師 (00142381)
• Keywords: 特異的免疫抑制法 / 脾細胞 / 肝細胞 / DTH反応

Research Abstract

〔目的〕脾細胞の移入により特異的免疫抑制効果が得るか否かを検討した。〔方法〕実験動物として、LEW(RT1^l)、BDE(RT1^u)、DA(RT1^a)、の純系ラットを使用した。異所性心移植をLEWからBDEに行ない、移植心の生着日数を検討した。又、DAからLEWの移植はthird party群した。脾細胞の分離は脾を細切してメッシュを通し、赤血球をTris-Bufferにて除去して用いた。前年度より継続中のDTH反応の測定は、BDEの脾細胞2×10^7個をLEWの背部皮下にprimingし、7日後に2×10^7個のBDE脾細胞をLEWの耳介部にchallengeして、48時間後の耳介部腫張増大度を100%とした。実験群の作成は以下の如くである。DTH反応はコントロール群に対し、BDE及びDAの肝細胞1×10^7個をprimingの4日又は7日前に脾内に移入した時の反応を検討した。脾細胞の門脈内投与及び静脈内投与は、BDE細胞1×10^8個をLEWへの心移植1日前及び7日前とした。〔結果〕(1)DTH反応:コントロール群と比べてdonor specificな抗原投与後、即ちBDE肝細胞をprimingの4日、又は7日前に脾内に移入した時のDTHは、それぞれ44.6%、74.2%であった。一方、third partyであるDA肝細胞を移入した時のDTHはそれぞれ72.5%、76.5%であった。(2)生着日数:BDEの脾細胞、1×10^8個をLEW ratの門脈内に移入し、その1日後あるいは7日後にBDE心をLEWに移植した生着日数は、コントロール群の6.7日に対しそれぞれ18.7日、24.3日であった。又、脾細胞の投与経路を静脈内投与とした時の生着日数は、それぞれ29.6日、27.0日であった。〔まとめ〕DTHは少なくとも7日間前後の期間、T細胞を介する免疫反応を非特異的に抑制した。又、4日前投与群ではdonor抗原特異的な反応抑制が認められた。脾細胞の移入により明らかな免疫抑制効果が得られたが、immunological unresponsivenessの導入にはさらに検討が必要であると考えられた。

Research Products

• [Publications] H.Nakano;Y.Nakajima;M.Segawa;et al.: Transplantation Proc.19. 511-513 (1987)
• [Publications] 村尾佳則,中島祥介,中野博重: 消化器外科. 11. 1840-1841 (1988)