1988 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血リンパ球の細胞電気泳動による食道癌治療指針の研究
Project/Area Number |
61570639
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 敏郎 東京大学, 医学部, 講師 (20126056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 泰 東京大学, 医学部, 医員
三山 健司 東京大学, 医学部, 助手 (40209937)
真船 健一 東京大学, 医学部, 助手 (40192348)
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Keywords | 食道癌 / 細胞電気泳動法 / 末梢血リンパ球 |
Research Abstract |
食道癌患者の末梢血リンパ球について、細胞電気泳動法により泳動度を経時的に測定し、癌の進行度、手術および術前後の化学両方・放射線治療による免疫状態の変動との相関の分析を続けてきた。方法は全自動細胞泳動装置により末梢血よりFicoll法で分離したリンパ球200個の泳動速度を測定、0.95μm/sec/v/cmを境にSlow cell数/Fast cell数×100(S/F比)を計算、指標とし、NK活性、リンパ球サブセット等の指標と比較した。食道癌患者43例を対象とした。正常人でS/F比が80以上は5%以下とされるのに対し、43例中34例(79.1%)がS/F比の初回測定値が80以上だった。癌の進行に応じS/F比は上昇するとされ、対象症例を、stO-IIと、st(St)III、IVの2群に分けると、S/F比の初回測定値は、st(St)III、IV群で高値で、進行度を反映すると考えられた。根治度別に、c(C)O、IとcII、IIIの2群に分けると、治癒切除し得なかったc(C)O、I群でS/F比の初回測定値が高値で、Curabilityの予測の材料になると考えられた。治療の影響を検討すると、手術のみ施行群で術後上昇したS/F比は2-3ケ月後には回復、術語のNK活性、Leu7^+、Leulla^+細胞比率の低下、回復に対応していた。手術、術後予防照射の両者施行群で術後上昇したS/F比は、放射線治療後一層上昇し、術後低下したNK活性等が、放射線治療後も横ばい又は回復傾向なのと対照的だった。放射線治療先行群で、放治後、S/F比は著明に上昇、手術先行群の術後の上昇程度を上回ったが、NK活性等の低下は術後の低下と大差なかった。S/F比は、癌の進行度や全身状態を反映する免疫学的指標と考えられるが、手術のみでなく、放射線治療により著明な影響を受け、NK活性等とは異なる性格を有すると考えられた。本年度は、無担体電気泳動装置による、末梢血リンパ球の表面荷電の大きさによる分離も試みたが、発熱による乱流形成等の障害により現在まで十分な成果は得られていない。
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Research Products
(1 results)