1986 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除後の細網内皮系の機能低下と汎発性血管内凝固症候群および臓器不全の発生
Project/Area Number |
61570642
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
嶋田 紘 福井医大, 医学部, 講師 (90117747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川原 儀三 福井医科大学, 医学部, 教授 (10019549)
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Keywords | 肝切除術 / 臓器不全 / 肝不全 / エンドトキシン / 網内系機能不全 / 貧食能 / エストロゲン |
Research Abstract |
1.臨床:肝切除術85例中経過良好は61例、黄疸遷延は8例、肝不全は16例であった。黄疸遷延因子として考えられたものは過大侵襲6例、肝予備能の低下2例であった。肝不全の誘因は過大侵襲3例、術中術後の大量出血と術後感染13例であった。肝切後の血中エンドトキシンは経過良好例に比べ黄疸遷延例や肝不全例では著しい高値(70〜100pg/ml)を示した。CsFe負荷による貧食指数K値は肝不全例では術前より低く、肝切後1日目は50%にまで低下し、その後の回復も悪かった。更に血清【CH_(50)】,【C_3】やフィブロネクチンなどの血中オプソニン因子も肝不全例で術後の回復が遅延することがみられた。また血小板数も経過良好例や黄疸遷延例では肝切後5日目に回復したが肝不全例では回復傾向がみられず、除々に低下していく傾向がみられた。即ち肝切後肝不全の発生には網内系機能低下とエンドトキシン血症が重要な因子で、更にその病態としては血小板の消費と産生低下が特異的であった。 2.実験:細網内皮系を賦活するエストリールの作用をin vitro,in vivoで検討した。エストリール投与ラットと非投与ラットでエンドトキシンのクリアランスを検討するとエストリール投与群が半減期($$T(1/2)$ 93分)が約60%に短縮し、消費率(0.074/分)も1.5倍に増加した。鉄染色状態をベルリンブルー染色で検討しても非投与群がクッパー細胞と肝細胞が染色されるのに投与群ではクッパー細胞にだけ染色され、クッパー細胞の貧食能亢進作用が示唆された。更にFinesisらの方法で培養したクッパー細胞にFITC-LPSを添加し蛍光顕微鏡で観察すると投与群でより強い蛍光が、数多いクッパー細胞にみられる傾向があった。
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Research Products
(1 results)