1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570653
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横山 隆 広島大, 医学部, 助教授 (60034104)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 節 広島大学, 医学部附属病院・第1外科, 助手 (20161945)
|
Keywords | 腹膜炎 / エンドトキシン / 右リンパ本幹 / 組織血流 / 肝障害 |
Research Abstract |
重症腹膜炎特殊モデル犬〔【I】群:胸管,右リンパ本幹両ドレナージ群,【II】群:非ドレナージ群,【III】群:対照群,【I】,【II】群腹腔内にエンドトキシン(以下ETと略す)(E.coli 055【B_5】LPS)0.5mg/kg注入〕を作成した。ETの定量を行うと、【工】群において、右リンパ本幹リンパはET投与後1時間目でpeak値4.53×【16^7】±2.38×【10^7】pg/ml,胸管リンパは7203.1±5022.9pg/mlをとり、全経過を通じ有意の差を認めた。門脈血中ETは1時間目に18.4±13.6pg/mlと軽度上昇したにとどまり、3時間目には10pg/ml以下と正常に復していた。【II】群では、門脈血中ETは30分で41.8±24.4pg/mlであり、以後漸増し、3時間目で5516.2±1856.4pg/mlに達した。対照群はすべて1Opg/ml以下であった。 逸脱酵素は【II】群においてのみ2時間目より上昇を認めた。肝および腸管組織血流は、【II】群において、動脈左は2時間後に低下を示すのに対し、肝組織血流は30分後より低下傾向を認め、腸管組織血流は、1時間目より有意の低下を認めた。しかし、多価蛋白分解酵素阻害剤を前投与をすると、この組織血流の低下は軽微であった。末梢血中白血球数は【II】群において1時間目より著明な低下を示し、末梢血中血小板数は2時間目より低下を認めた。 以上の実験と対比するため、胆道内にET0.1mg/kgを注入圧を変化させて投与し、ET血症を惹起せしめたところ、血中ETは5分後にpeakに達し、ET静注例とほぼ同様のET濃度の変化を示した。この実験における肝組織血流は、対照群に比し、30分後には有意の低下を示した。肝組織像ではET投与群では門脈域の細胞浸潤が認められ、Kupffer細胞は膨化が認められた。これらの変化は肝障害の発生と関連を持つものと思われ、ET投与によって、肝障害が引き起こされると推察された。
|
-
[Publications] 横山隆: カレントテラピー. 5. (1987)
-
[Publications] 竹末芳生: 日本臨床外科医学会雑誌.
-
[Publications] 竹末芳生: 日本外科学会雑誌. 88. (1987)