1986 Fiscal Year Annual Research Report
胃シンチグラムを用いた胃内容排出動態と十二指腸からの逆流の解明
Project/Area Number |
61570655
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
白鳥 常男 奈良県医大, 医学部, 教授 (50075066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 洋一 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (70118040)
村田 省吾 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40118039)
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Keywords | 胃・十二指腸潰瘍 / 胃シンチグラム / ラジオアイソトープ法 / 胃内容排出動態 / 胃内容排出検査法 |
Research Abstract |
胃,十二指腸潰瘍における胃内容排出動態の解明は、病態の把握あるいは治療に資するためにもきわめて重要な問題と思われる。従来より胃,十二指腸潰瘍の胃内容排出機能について多くの測定法が試みられており、胃内容の排出異常が指摘されているが、いずれも検査後の評価は胃内容排出の遅延あるいは促進といった結論にとどまっており、遅速の機序については研究者の推測の域を出ていない。我々は他の胃内容排出検査法は無論のこと、ラジオアイソトープ法でも従来のごとく1つの関心領域での分析では、遅速の機序についての解明ができないため、胃に3つの関心領域を設定し、各領域の排出曲線から排出に遅速が生じる機序を考察した。 その結果、(1)胃,十二指腸潰瘍では胃内容排出異常が認められ、健康成人と比べて、胃上部潰瘍では排出促進が、胃下部潰瘍では排出遅延が、そして十二指腸潰瘍では排出促進を認めた。(2)胃上部潰瘍で排出が促進する機序は、近側胃部から幽門洞部への内容の移動が促進するためと示唆された。(3)胃下部潰瘍で排出が遅延する機序は、幽門洞部での排出能が低下するためと示唆された。(4)十二指腸潰瘍で排出が促進する機序は、胃全体の排出能が近側胃部および幽門洞部ともに亢進するためと示唆された。(5)各潰瘍の胃内容排出動態は、活動期に比べ治癒期では健康成人の排出動態に近づくことが認められた。 なお、消化管ホルモンと排出、各種運動機能賦活剤などの薬剤と排出の関係についても現在、検討中である。
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[Publications] 中辻直之: 日本平滑筋学会雑誌. 22. 73-96 (1986)
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[Publications] 中辻直之: 日本平滑筋学会雑誌. 22. 146-148 (1986)
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[Publications] 白島常男: 臨牀消化器内科. 2. 523-525 (1987)