1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570663
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高島 茂樹 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (40126587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛引 健 金沢医科大学, 医学部, 助手 (00177990)
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Keywords | 大腸癌 / MNNG / 便流 / 胆汁酸 / 二次胆汁酸 / 右側結腸切除術 |
Research Abstract |
近年, 本邦における大腸癌発生率は急増する傾向にあるが, その要因として胆汁酸の関与が注目されている. そこで, Wistar系ラットを用い, 上行結腸に人工肛門を造設することによって便流遮断空置大腸を作製し, 胆汁酸プールの場である便流の遮断が発癌物質MNNG誘発大腸癌の発生率に如何なる影響を及ぼすかを検討した. その結果, 便流遮断が大腸癌の発生を有意に抑制することが判明した. 次いで, この便流遮断空置大腸に自然肛門より発癌物質MNNGに加え, コール酸(CA), ケノデオキシコール酸(CDCA), デオキシコール酸(DCA), リトコール酸(LA)などの各種胆汁酸の付加投与を行ない, 胆汁酸の付加投与による大腸癌発生率の変化を検討した. その結果, 便流遮断大腸に対するMNNG単独投与群の大腸癌発生率に比し, CA,CDCAなどの一次胆汁酸付加投与群のそれには有意差はみられなかったが, DCA,LAの二次胆汁酸付加投与群の癌腫発生率は有意の増加を示し, 便流非遮断ラットの癌腫発生率に近似ある傾向を示した. このことから, 大腸癌発生において二次胆汁酸の存在が促進的に作用することが示唆された. 以上の結果をふまえ, 臨床的に右側結腸癌に対し生体内において胆汁酸代謝の場である右半結腸の切除術が一般に施行されていることから, その後の残存大腸の癌発生の変化に注目した. そこで実験的に右側結腸切除後の残存大腸における癌腫発生率を検索するとともに便中胆汁酸組織の変化に検討を加えた. その結果, 右側結腸切除群ではMNNG誘発大腸癌が有意制御され, 同時に便中の二次胆汁酸量も有意の減少を示した. この事実は大腸癌発生過程における二次胆汁酸の促進因子としての作用を裏付けるものと言える.
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