1986 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の集学的治療;経リンパ行性制癌剤注入療法の臨床的ならびに実験的研究
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61570667
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
加藤 弘文 滋医大, 医学部, 講師 (20111974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 憲太郎 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30171482)
岡田 慶夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10106825)
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Keywords | 肺癌集学的治療 / 選択的経リンパ行性制癌剤注入療法 / 胸膜下リンパ管注入法 / 気管分岐部リンパ節内注入法 / 反復投与法 / 気管支粘膜下リンパ管 |
Research Abstract |
肺癌集学的治療における選択的経リンパ行性制癌剤注入法の研究の中で、今回は、1)癌細胞への選択性の向上と、2)反復投与法の開発の二点を研究課題とした。 1)癌細胞への選択性向上について--臨床的にアドリアシン20mgと投与量を倍増し、気管分岐部リンパ節内注入および胸膜下リンパ管内に注入し各リンパ節への移行分布を検討した。その結果、胸膜下リンパ管注入法では肺門縦隔のリンパ節にわたり均一に分布することにかわりはなく、濃度も投与量に比例して高濃度となっている。気管分岐部リンパ節内注入法でも同様、左右傍気管および上縦隔のリンパ節へより高濃度に移行することが判明し、副作用も皆無である。胸骨縦切開下の拡大リンパ節郭清法の効果を増強するとともに、過大侵襲を避ける方法として拡大リンパ節郭清術をほどこさずに対側リンパ節への徴小転移に対して抗腫瘍効果が期待できる濃度であった。実験的にはリポゾームの大きさ、荷電状態と腫瘍親和性について検討した。リポゾームの大きさによる腫瘍親和性に有意差はなかった。むしろ荷電状態により差があり、陰荷電のものに腫瘍親和性がみられ、抗腫瘍効果が期待された。2)反復投与法の開発について--気管支粘膜下リンパ管への注入経路を検討した。臨床的に術前に切除予定の肺葉の気管支粘膜下に造影剤を注入した。リンパ指行性のリピオドールはゆっくりとリンパ流に集って、肺門リンパ節から傍気管リンパ節へと上行するのが観察された。実験的に犬の気管分岐部、二次分岐部の気管支粘膜下リンパ管に造影剤注入の結果、二次分岐部以下において肺門リンパ節へ流入し、気管分岐部で傍気管リンパ節へ流入した。反復投与により所属リンパ節へ正しく薬剤が移行することが確認された。今後は粘膜組織への毒性の観点から投与薬剤の選択と修飾が検討課題である。
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