1986 Fiscal Year Annual Research Report
心及び心肺同時移植に於る拒絶反応の病態の研究と臨床応用のための免疫抑制法の検討
Project/Area Number |
61570685
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
鈴木 盛一 循病セ, その他, 研究員 (00111386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 泉 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 室員 (90153866)
金城 勝 国立循環器病センター研究所, 共通実験室, 室員 (10132929)
雨宮 浩 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 部長 (80009563)
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Keywords | 心臓移植 / 心肺同時移植 / 核磁気共鳴法 / エネルギー代謝 / 免疫抑制 / シクロスポリン / ミゾリビン / 15-デオキシスパーガリン |
Research Abstract |
心及び心肺同時移植に於るシクロスポリン(CS)の使用は移植成績を向上させた一方、その毒性や長期投与による発癌は重大な問題となっている。同時に、合併投与されるステロイドの副作用も無視できない。本研究は、第1にCSの少量投与法とステロイドを用いない免疫抑制法の開発を目的とし、次いで拒絶反応の新しい診断法として核磁気共鳴法(NMR)を用いた試みを行い、更にその方法により新しい免疫抑制剤15-デオキシスパーガリン(DSG)の郊果、投与法等について検討した。まず、ラット腹部異所的心肺移植に於て、少量のCSと少量のミゾリビンの合併投与を行ったところ、それぞれの単独投与では得られなかった著明な生着延長が認められ、しかもこの方法ではステロイドを全く必要としなかった。次いで、移植心拒絶反応の新しい診断法として、【^(31)P】-NMRを用い、感作リンパ球により攻撃された心筋のエネルギー代謝の状態を非侵襲的に解明することにより検討した。この研究では、ラット頸部異所的心移植モデルを用い、可動式表面コイルにより【^(31)P】-NMRを測定した。拒絶反応現時には、無機リン(Pi)/フォスフォクレアチン(PCr)比が上昇し、進行とともにその比が著明に増加することが示され、したがってPi/PCr比の測定は、拒絶反応の早期診断と重症度の解明に有効なことが示された。ラット頸部心移植モデルと【^(31)P】-NMRの測定により、新しく開発された免疫抑制剤DSGの効果を検討した。2.5〜5mg/kgで著しい免疫抑制効果の得られることが認められ、また個体によってはその単期間の投与で免疫抑制状態の得られることが示された。DSGは、ラットへの投与では毒性が認められず、今後有望な免疫抑制剤と考えられた。今後共、DSGを用いた拒絶反応の治療、あるいは確実な免疫寛容導入の検討を行い、DSGによる免疫抑制の機序についても積極的に研究をすすめると共に、今年度の研究データをもとに、大動物における研究も行って行きたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鈴木盛一: 日本移植学会誌. 21. 318-323 (1986)
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[Publications] Seiichi Suzuki: Transplantation.
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[Publications] Seiichi Suzuki: Transplantation.