1987 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロペプタイドY(NPY)の脳循環に与える影響
Project/Area Number |
61570697
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 善男 名古屋大学, 医学部, 助手 (80171271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田ノ井 千春 名古屋大学, 医学部, 医員
原田 努 名古屋大学, 医学部, 医員
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Keywords | NPY / 脳血管 / 椎骨血流 / 交感神経 / ノルアドレナリン / 弛緩性ニューロペプタイド |
Research Abstract |
イヌの摘出脳血管(脳底動脈及び中大脳動脈)と椎骨血流に対するNPYの効果は他の内在性血管活性物質には認められない. 強力で持続時間の長い血管収縮, 血流減少効果であった. NPYの血流減少作用は全身血圧や心拍数, 血液ガス等に何ら影響を与えない条件で認められ, NPYは頚動脈や腸間膜動脈と比較すると脳血管に対する親和性が強い血管作動性神経伝達物質と思われる. この作用時間の長い脳血流減少効果は, 組織血流計を用いて証明し得たラット線条体血流量に対する効果とよく一致した. NPYはノルアドレナリン(NA)といわゆる交感神経終末に共存することが証明されており, 両者の相互作用を解明することは重要であり議論の多い点であった. 従来末梢血管を用いて報告されたNAとNPY収縮は相乗作用を示すという結果とは異なり, 脳血管では, NPYは神経終末からのNA放出を抑制するだけでなく, NAの収縮反応を用量依存的に抑制し, 他の部位とは異なることが証明出来た. 事実, 頚動脈ではNPYのNA縮抑制作用は全く認められなかった. Substance P, VIP, CGRPはイヌ脳血管拡張, 脳血流増加作用を示すことを, 既に報告したり, 確認したニューロペプタイドであるが, NPYの収縮作用もこれら弛緩性ペプタイドが抑制することを確かめた. Substance Pの反応は血管内皮依存性の一過性反応であったが, VIP, CGRPは直接血管平滑筋に作用し, NPYの作用を持続的に抑制するものと思われた. 脳血管は生理的条件下で, 交感神経緊張状態, つまり血管収縮状態に保たれている可能性が強く示唆されているが, その役割を従来知られていたNAではなく, NPYが果たしている可能性が予想され, 今後の研究課題として更に追究したい. そして上記の弛緩性ペプタイドとの相互関係も明らかにしたいものである.
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Research Products
(2 results)