1986 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対する化学療法とその補助増強作用としての養子免疫療法に関する研究
Project/Area Number |
61570698
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生塩 之敬 阪大, 医学部, 助手 (20028583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 惠司 大阪大学, 医学部, 助手 (50162699)
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Keywords | グリオーマ / Lymphokine-activated killer(LAK)細胞 / インターロイキン-2 / 養子免疫療法 / ガンマ・インターフェロン / モデル |
Research Abstract |
ニトロソウレア系制癌剤の使用により、脳腫瘍患者の延命効果が得られる様になった。しかしこの制癌剤は、投与約4〜6週後に、骨髄抑制が最も強く生じることから、、他の制癌剤との併用療法にもおのずと制約が生じてくる。今後さらに治療効果が得られる一手段として、骨髄抑制下における抗腫瘍効果を増強する目的で、Lymphokine-activated Killer(LAK)細胞による養子免疫療法の治療効果を検討した。まずはじめに、NK細胞抵抗体のマウスグリオーマ(203-glioma)に対するLAK細胞の抗腫瘍効果を、in vitroで確認すると共に、その作用機序及び細胞膜抗原について検索した。次いで、グリオーマ患者に対する養子免疫療法の臨床応用について検討する目的で、ヌードマウスに、ヒトグリオーマ細胞を用いたMeningeal gliomatosisを作製した。またグリオーマ患者の病態推移と免疫応答の障害の有無について調べたところ、Karnofsky scaleが90-70%と比較的早期の患者でも、ガンマ・インターフェロンの産生が障害されていた。一方LAK細胞のグリオーマに対する抗腫瘍効果は、Karnofsky scaleが20%の末期患者ですら正常人の50%程度の活性を誘導できた。以上の基磯的データに基づき、われわれは、手術時の切除組織よりグリオーマ細胞を培養すると共に、同患者からLAK細胞を誘導し、その抗腫瘍効果を1症例ずつ検討を加え、化学療法との併用の可能性を検索している。現在われわれは、13例の脳腫瘍患者にLAK細胞の養子免疫療法を行い、その副作用と安全性について調べると共に、その有効性について検討している。さらに症例を追加し、適応疾患およびその病態について検討し、脳腫瘍に対する免疫化学療法の一方針を決定する予定である。
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[Publications] 岡本裕: 脳と神経. 38. 233-237 (1986)
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[Publications] 清水惠司: 脳と神経. 38. 265-271 (1986)
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[Publications] 清水惠司: 日本癌治療学会誌. 21. 760-766 (1986)
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[Publications] 岡本裕: 脳と神経. 38. 593-598 (1986)
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[Publications] 宮尾泰慶: 癌と化学療法. 13. 2600-2605 (1986)
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[Publications] SHIMIZU,Keiji: Journal of Neurosurgery. 66. (1987)
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[Publications] SHIMIZU,Keiji: "BRAIN ONCOLOGY-Biology,Diagnosis and Therapy" MARTINUS NIJHOFF/DR W.JUNK PUBLISHERS, (1987)