1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570701
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山口 三千夫 神戸大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40030861)
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Keywords | 実験的脳浮腫 / 硝酸銀注入法 / リソゾーム / ステロイド / 血液脳関門 / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
前年度には水中毒法による実験的脳浮腫を作製して、行動学的な検討も行ったが、今回は主に硝酸銀脳内注入法による脳浮腫について研究をすすめた。本法によっても、脳内の水分、ナトリウム、カリウムの含量は変化を示した。ナトリウムは水中毒法による脳浮腫と異なり有意な増加を示したが、エバンス青による血液脳関門の損傷が明らかとなった事と同じく、多くの血管原性脳浮腫ミデルに認められるのと同じ結果であった。また、血液脳関門の損傷を伴う型の脳浮腫はステロイドによって浮腫の程度の軽減や、その発生の予防が可能といわれている。そこで、ステロイド(ベタメサゾン)、蛋白分解酵素阻害剤としてアプロチニンとウリナスタチン、脂質過酸化防止剤としてAVSの四種類の薬物をラットに注射(6時間おき、4回)して、対照群(生理食塩水を注射)と比較し、水分量が有意に減少して正常ラットのそれに近づくことを認めた。また脳リソゾーム膜が浮腫発生前に破壊されて、中の水解酵素が病態を進行させるともいわれるので、浮腫群、各種薬物群それぞれについて、脳リソゾーム酵素活性を測定した。すると脳浮腫時にはβ-Glucuronidaseの活性が上昇し、各種薬物によってその上昇が抑制されることが認められた。そしてリソゾーム膜の崩壊に膜の脂質の過酸化が関連するといわれるため、脳の過酸化脂質の測定を試みた。しかしこの測定は甚だ再現性に乏しいことがあり、本研究者が独自に基礎実験からやりなおす必要があった。この測定法の改善等については一応のまとめができたので、その方法で測定して、やはり硝酸銀注入法ではリソゾーム膜の損傷に伴って過酸化脂質が増加することが示された。また、この増加はラットにAVSを投与することで防止し得た。即ち脳浮腫の治療に用いて有用であったAVSは脂質過酸化を抑制したと考えることも可能となった。これらの条件下の実験心理学的な評価は計画中である。
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Research Products
(1 results)