1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570717
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
首藤 貴 愛媛大学, 医学部, 助教授 (20116940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩山 憲二 愛媛大学, 医学部, 助手 (70186039)
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Keywords | 障害者 / 福祉機器 / コミュニケーション |
Research Abstract |
日常生活に多面的な介助を必要とする重度脳性麻痺症例においては、言語障害や書字機能障害により人間の大切な機能であるコミュニケーション能力の障害を合併することが多い。しかし、これらの症例の中に知的能力が全く正常かまた特に優れているにもかかわらず、何らの福祉機器の利用によらなければその知的能力を導出することが困難な場合が多い。 コミュニケーション障害に対するアプローチとして、1)音声編集機による会話機能に対する援助システム、2)特殊ワードプロセッサーの開発による書字機能に対する援助システムの2つのアプローチが考えられる。 われわれは、両システムの開発を進め、臨床応用を行った。言語編集機は音声によるコミュニケーション障害者の実生活の中で意志伝達を行なうため利用価値が高いことを認め、書字介助システムは特に症例の文作活動を助け、創作能力を導出することに役立つことがわかった。 これらの機器の開発には、コンピューターを利用した機器本体およびソフトウエアーの開発に合わせて、障害者の残存運動機能を働かせて入力装置を操作するためのインターフェイスおよび個別的な入力装置の工夫が重要であった。 四肢体幹に重度の運動障害を有している症例に対して、従来のリハビリテーション手段では症例の能力開発に限界を生じていた。しかしコミュニケーション機器の利用により 「コトバ」 や 「心理活動」 の表現障害を改善し、これまで深刻であった人間相互のつながりを維持する能力の障害を克服することも可能となる。以上の如き表現機能の補助は重度障害者の精神的自立を促進し、本人の人権を保障するため重要であることが今回の研究を通して判明した。
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