1986 Fiscal Year Annual Research Report
経頭蓋的運動野刺激による下行性脊髄電位および頸神経根電位に関する実験的臨床的研究
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61570724
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松田 英雄 阪市大, 医学部, 講師 (80137223)
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Keywords | 術中電気診断用電極固定装置 / 大脳皮質電気刺激 / 下行性脊髄誘発電位 / 脊髄髄内腫瘍 / 脊髄表面多チャンネル導出電位の変化 / 脊髄モニタリング |
Research Abstract |
1.電極固定装置の試作:(1)脊椎・腕神経叢の手術時、ステンレス棒を手術台の両側に立て、両者をステンレス棒で連結させて枠を組み、これにXブロックを取り付け、ボールジョイントクランプを固定する。これで電極を挾み固定する。(2)四肢の神経の手術に際しては、多刺激電極固定装置を購入し、これを板に取り付け、術野に置くことにした。(3)研究計画62年度1)2)3)の実験的研究は63年度に行う。 2.脊髄横断面上における8チャンネル同時導出脊髄誘発電位(63年度に予定していた計画をEvomatic8000が入手できたため繰り上げる):経頭蓋内板的大脳皮質の電気刺激(TS)による脊髄電位を脊髄横断面上における硬膜の外側から8チャンネル同時記録可能な表面電極によって導出した。対象は脊髄腫瘍5例である。(1)片側双極電極を用いた弱いTSでは対側脊髄表面における電極から下行性電位が記録されるが、刺激を漸次増してゆくと、電位は両側性に出現するようになる。その際、対側脊髄における電位の振幅の増大が停止した後も、同側脊髄における電位の振幅は増大してゆく。このことから弱刺激では片側性の刺激となるが、強刺激では両側の脊髄下行路が刺激されると判断された。さらに、下行性電位の振幅は脊髄の前・側方で最も大きく記録されることから、この電位の起源は脊髄下行路に由来すると考えられた。(2)TSによる電位は脊髄病巣部では上行性電位ととも陽体化するが、その左右差とみると、臨床上における運動麻痺の強い方の陽性化が強く、臨床症状と合致する。したがって本電位によって、脊髄下行路の状態を客観的に評価可能であるとみなされた。。(3)TSによる電位を胸髄髄内腫瘍摘出時のモニターとして使用し、下肢における運動麻痺の発現の予防には役立った。今後、広く普及させてゆく必要性を痛感している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松田英雄,他: 整形・災害外科. 30. 281-293 (1987)
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[Publications] 松田英雄,他: 臨床脳波. (1987)
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[Publications] 松田英雄,他: 神経研究の進歩. 32. (1988)
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[Publications] 周一鳴,松田英雄,他: 第10回電気診断研究会誌. (1987)
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[Publications] 松田英雄,他: 日整会誌. 61. (1987)
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[Publications] 松田英雄,他: 日手会誌. 4. (1987)