1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570743
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂部 武史 山口大, 医学部, 助教授 (40035225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中木村 和彦 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (50180261)
筒井 俊徳 山口大学, 医学部, 助手 (00155417)
石川 敏三 山口大学, 医学部, 助手 (90034991)
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Keywords | Nitrous oxide / Analgesia / Acute tolerance / Substance P-receptor / Monoamine |
Research Abstract |
笑気(【N_2】O)の鎮痛作用及び耐性発生機序を探るため痛覚の神経伝達物質候補substance P(SP)とmonoamine神経系の変化が鎮痛効果の経時的変化とどの様に関連するかを検討した。ラットをプラスチックケージ内に入れ安静させた後、【N_2】O70%+【O_2】30%ガスを2時間吸入させた。その後空気吸入として1時間経過した後【N_2】O70%を再吸入させ2時間観察した。鎮通効果はtail-flick装置により経時的に測定した(%Analgesia)。脳及び脊髄におけるSP結合部位は定量的invitro autoradiography(【_(125)I】Bolton Hunter substance P)を用い、【N_2】O吸入2時間後、中止1時間後及び再吸入2時間後に測定した。脳局所SP濃度はRIA法で、またmonoamine濃度はHPLC(ECD)を用い、【N_2】O吸入前と再吸入2時間後に測定した。覚醒ラットにおける測定値を対照とした。〔結果及び考察〕1.%Analgesiaは【N_2】O吸入1時間で約65%、2時間で45%となり、中止1時間で吸入前値に戻ったのち、再吸入1時間で25%、2時間で10%となり、再吸入2時間では初回吸入2時間値より抵下した。2.覚醒時の脳・脊髄におけるSP結合部位は局所差がみられ、またSP濃度分布と関連していなかった。3.【N_2】Oの初回吸入2時間でSP結合部位は対照に比べ20〜80%減少し、中止1時間あるいは再吸入2時間後も減少が続いた。再吸入2時間で黒質、線条体、視床下部のsp濃度が3〜4倍に増加した。4.【N_2】O再吸入2時間で線条体、視床下部、海馬のNAが減少し、DAは線条体と扁桃核で減少、海馬で増加した。5-HTは何れの部位でも変化しなかった。以上より、ラットにおける【N_2】Oの鎮痛効果は2時間吸入後の再吸入で耐性が発生し、SP受容体結合の減少及びSP濃度上昇などの神経化学的変化と関連し、さらにSPと局在を同じくするNAとDAが変化したことを考え合わせると、【N_2】Oの鎮痛作用及び耐性発生にSP神経系とmonoamine神経系の相互作用が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)