1986 Fiscal Year Annual Research Report
腎プロスタグランディンの腎血行動態調節作用に関する研究
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61570768
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池上 奎一 熊本大, 医学部, 教授 (20040149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敏廣 熊本大学, 医学部, 助手 (80174803)
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Keywords | 腎血管性高血圧 / 腎組織内血流量 / プロスタグランテイン【E_2】 / ナトリウム代謝 / アンジオテンシン【I】変換酵素阻害剤 / ループ利尿剤 / カルシウム拮抗剤 |
Research Abstract |
腎で生成される循環ホルモン系と腎内血行動態との相互関係に関する研究の一環として、ウサギを用い、左腎動脈狭窄による2腎・1クリップ型高血圧を作成,急性期(1週間目)及び慢性期(10週間目)における血圧,処置腎及び対側腎の皮質及び髄質組織内血流量,尿量,Na排泄量及びプロスタグランディン(PG)【E_2】排泄量に及ぼすカプトプリル(アンジオテンシン【I】変換酵素阻害剤),フロセミド(ループ利尿剤)及びニフェジピン(Ca拮抗剤)の影響について検討し、次のような結果をえた。 1.カプトプリルは高血圧群の血圧を急性期においてのみ有意に下降させた他は、測定した各因子に全く影響を及ぼなさかった。 2.フロセミドは高血圧,対照両群の急性期,慢性期のいずれにおいても、腎皮質血流量の有意の減少と髄質血流量の有意の増加,PG【E_2】排泄量の有意の増加を伴う著明なNa利尿をきたし、高血圧群の血圧下降をもたらした。これらの影響は高血圧群の慢性期に特に著しかった。 3.ニフェジピンは高血圧群の急性期,慢性期のいずれにおいても有意の血圧下降をもたらしたが、全群において尿量やPG【E_2】排泄量には影響せず、僅かにNa排泄量の増加をきたした。腎組織内血流量は、高血圧群慢性期の処置腎を除き、皮質,髄質とも、高血圧,対照両群において増加がみられ、特に皮質において著しかった。 以上の結果は、これらの薬剤の腎組織血流分布に及ぼす影響がそれぞれ異なること、2腎・1クリップ型腎血管性高血圧は、急性期にはアンジオテンシン【II】に強く依存すするが、慢性期にはもはや依存せず、むしろPG【E_2】を介したNa代謝が大きな役割を担うこと、急性期、慢性期を通じて高血圧維持にCaが密接な関係を有することなどを示唆しており、これらは従来のわれわれの実験成績を支持するものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 吉田正貴: 日本腎臓学会誌. 28. 203-209 (1986)
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[Publications] Masaki Yoshida: Archives internationales de Pharmacodynamie et de The【e!´】rapie. 282. 108-117 (1986)
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[Publications] Msaki Yoshida: Nephron. 44. 142-149 (1986)
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[Publications] Jiro Machida: Nephron.