1986 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン代謝分解よりみた妊娠中毒症発症に関する研究
Project/Area Number |
61570787
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水谷 栄彦 名大, 医学部, 講師 (00159162)
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Keywords | 胎盤アミノペプチダーゼ / アンジオテンシン代謝 / 高速液体クロマトグラフィー / 胎盤機能評価 |
Research Abstract |
1.アンジオテンシンの代謝分解に関与すると考えられる以下のアミノペプチダーゼを胎盤より精製し以下の知見,成果を得た。 (1)アンジオテンシン変換酵素:本酵素の特異的阻害剤であるカプトリルを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより6297倍に精製に成功し、胎盤における存在を初めて証明した。分子量は30万であった。 (2)アミノペプチダーゼAおよび膜型ロイシンアミノペプチダーゼ:ゲルろ過,イオン交換,両酵素の阻害剤であるベスタチンのアフィニティークロマトグラフィーにてそれぞれ3946倍,3882倍に精製し、分子量はおのおの28万と22万であった。 (3)ジペプチジルペプチダーゼIVおよびポストプロリンエンドペプチダーゼ:ゲルろ過,イオン交換およびphenyl-Sepharose4Bカラムによりそれぞれ1840倍,3390倍に精製し、分子量はおのおの35万と14万であった。 (4)妊婦血中に著増する胎盤性LAP(血中P-LAP)ベスタチンアフィニティークロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーにて1775倍に精製した。分子量は28万であった。 2.アンジオテンシンの分解,上記精製酵素とアンジオテンシンをin vitroでインキュベートし、水解遊離するアミノ酸を高速液体クロマトグラフィーにより定量し、以下の事実を得た。アミノペプチダーゼAはN端のASpをよく遊離したあとのA-IVのArg-【Val_7】Tgrをよく遊離させ、これらはアンジオテンシナーゼとして働くことが証明された。 3.臨床研究:アミノペプチダーゼAは妊娠中後期において妊娠高血圧例では正常に比較し有意に低下がみられ、また血中P-LAPは妊娠高血圧軽症例では低値を示し、重症例では病態の悪化とともに減少をみた。 上記の事実をふまえ今後in vitroでの酵素による降圧作用を検討し性ホルモンの酵素活性に与える影響を調べる。
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