1987 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中毒症における胎児発育遅延の発症病態とその治療に関する研究
Project/Area Number |
61570788
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉山 陽一 三重大学, 医学部, 教授 (30093131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 隆史 国立津病院, 産婦人科, 医長
伊東 雅純 三重大学, 医学部, 助手 (00159914)
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Keywords | 妊娠中毒症 / 高血圧自然発症ラット(SHR) / Ca^<2+>拮抗剤 / アドレナリン受容 |
Research Abstract |
妊娠中毒症を一種の血管系症患としてとらえ, そこに関与する種々の血管作動物質の挙動を薬理学手法を用いて検討してきた. すでに妊娠高血圧症(PIH)の発症要因の一つに, 昇圧物質に対する血管感受性の亢進が指摘されている. 一方, 妊娠中の高血圧対策にCa^<2+>拮抗剤の有用性が注目されてきた. そこで, 本研究では, Ca^<2+>拮抗剤のnicardipine(NIC)が妊娠時の血管反応性にいかなる影響をおよぼすかについて, 高血圧モデル動物を用いて検討した. 対象として高血圧自然発症ラット(SHR)とcontrolとしてWister系kyoto(WKY)の妊娠時および非妊娠時の胸部大動脈のらせん状標本を作成し, O_2供給下の37°Ckrebs液内で血管の等尺性張力を記録した. 昇圧物質として非選択性α作動薬のnorepinephrine(NE, 10^<+9>〜10^<-5>M)を使用し, 収縮反応に対するNICの抑制効果をみた. 今回使用した摘出胸部大動脈のNEに対する収縮反応は, α受容体の拮抗薬のphentolamine(10^<-5>M)にて完全に抑制されβ受容体の拮抗薬のpropranolol(10^<-5>M)にては影響を受けなかった. KClによる最大収縮と100%とした場合, NEによる最大収縮は妊娠SHRで129%, 妊娠WKYで170%と亢進した. 一方, NICのNEに対する収縮抑制はNIC(10^<-9>〜10^<-7>M)にて, SHR, WKYともに濃度依存的に抑制され, その効果はSHR>WKYであった. 以上のように, 妊娠SHRでは昇圧物質に対する血管反応性の亢進がみられたことから, PIH時の血管平滑筋収縮に対するCa^<2+>拮抗剤の有用性について臨床応用もふくめ, 検討する段階にきていることが示唆された.
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