1988 Fiscal Year Annual Research Report
体外受精胚移植法よりみた一過性高プロラクチン血症の妊娠成立に及ぼす影響
Project/Area Number |
61570809
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
小田 高久 東京歯科大学, 歯学部・産婦人科, 助教授 (80129379)
|
Keywords | 一過性高プロラクチン血症 / 体外受精胚移植 / 卵の成熟と受精 / 排卵 / プロラクチンの生物学的活性と分子異質性 |
Research Abstract |
一過性高プロラクチン(PRL)血症の排卵、卵成熟、受精分割、更には妊娠成立に及ぼす影響を解明することを目的として、以下の研究を行った。 1.ヒト体外受精胚移植(IVF-ET)において、一過性高PRL血症あるいは潜在性高PRL血症を示した症例を対象とし、PRL分必抑制作用を有するbromocriptin(BR)を投与してIVFを行った。その結果、BR投与周期の受精分割及び妊娠成績は、非投与周期と比較し明らかな差は認められなかった。 2.ヒトIVF周期の排卵期一過性高PRL血症例において、血清PRLの生物学的活性とmolecular heterogeneityを検討した。その結果、大分子PRLの割合が高く、生物学的活性の低い例が存在したが、未だ検討症例数が不十分であったため結論を出せるまでには至らなかった。 3.家兎卵巣灌流法を用いたin vitro実験により、PRLの卵成熟と卵胞壁破裂機序に及ぼす影響について検討した。その結果、PRLはgonadotropinによって引き起こされる排卵現象の一つである卵核の成熟に対し、抑制的にも刺激的にも作用しないことが明らかとなった。しかしPRLは用量反応性に排卵を抑制したことから、PRLの卵巣、特に卵胞への直接作用が示唆された。 以上IVF-ETの過排卵周期を中心として、一過性高PRL血症の妊娠成立に及ぼす影響を検討した。PRLの作用の解明には生物学的活性からのアプローチの重要性が明らかとなったが、今回はその点の検討が不十分であった。また本研究は、過排卵周期という極めて限定された条件下であったことなどを考慮し、今後は更に対象を拡大していくことが、一過性高PRL血症の意義を解明するための課題として残されていると思われた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Yasunori Yoshimura.: Acta Obstetrica et Gynaecologica Japonica. 41. 83-89 (1989)
-
[Publications] Takahisa Oda.;Mizuno ed.: "Role of prolactin in human reproduction/Biological activity and molecular heterogeneity of prolactin in women" Karger, 43-53 (1988)